思いがけない“聖地巡礼”だった。プロ注目右腕、中村海斗投手(2年)がいる明大中野への取材で、東京・多摩市の南野グラウンドへ向かった。左翼100メートル、右翼103メートルと広く、周りに高い建物がないため日当たりが良くて、冬場でも日差しが心地いい。

中村投手に「いいグラウンドですね」と話を振ると「そうなんです。ROOKIESの撮影現場にもなったんです」。思わず「え! どういうこと!」と驚いた。普通のグラウンドに見えたその場所。実は08年、当時小学生の私がどハマりし、野球部のマネジャーをやろうと思うきっかけとなったドラマの地だった。

二子玉川学園へ赴任してきた新人教師が野球部の顧問になり、不良たちと甲子園を目指す物語。撮影現場だった都立南野高は廃校となり、約10年前に明大中野の専用グラウンドができた。すぐ横は国士舘大のキャンパスになったが、「夢にときめけ! 明日にきらめけ! 目指せ甲子園!」と印象的な張り紙のあった部室は当時のまま。岡本良雄監督(54)が「ここから見えるクロネコヤマトの看板と恵泉女学園大の礼拝堂はよくドラマに出てきますよ」と教えてくれた。

作中では「不良高校」の舞台だが、現実では「進学校」のグラウンド。目標は同じく甲子園だ。もちろん「ニコガク」のように金髪やドレッドヘアの球児はいない。頭を丸めた生徒たちが練習に励む。学校から約30キロ離れ、授業が終わると1時間半もかけてやってくる。明大中野は現在、偏差値70。英検準2級の取得は必須で、3回の推薦学力テストが実施される。その中で、野球部はほぼ全員が毎年、明大に進学する。

ドラマでは見事に甲子園出場を果たす。岡本監督も「あやかりたいです」と望む。リアルでも初の甲子園へ、けん引するのは最速140キロで187センチ、97キロの大型右腕中村。世田谷西シニアで138キロを計測し、多くの強豪から声がかかったが、自主性を重視する明大中野に進学した。「相手を圧倒して抑える、チームを勝たせられる投手になりたい。一番きつかった冬、と言えるように追い込みたい」と成長を誓う。“明大中野の安仁屋”がドラマを完全再現する。【星夏穂】