城東(徳島)は21世紀枠で春夏通じて初の甲子園出場を決めた。主将の森本凱斗捕手(2年)は「うれしい気持ち。プレッシャーを感じながらも喜びもあった。

甲子園では機動力を生かして駆け回りたい」と声を上ずらせた。「主体的に考える野球」をテーマに機動力を生かした野球が持ち味だ。グラウンドは他の部活動との共用のため、バントのみで得点を目指す「バントゲーム」で走塁や対応力を磨き、昨秋は徳島4強入りを果たした。

部員はわずか13人。その1人が女子マネジャーの永野悠菜さん(2年)だ。幼稚園から幼なじみの森本が勧誘。野球未経験だったが、猛練習でノックを打てるようにまでなった。新治良佑監督(34)も「献身的なサポートをしてくれている。内野ノックは打ち分けるし、外野ノックをできるまでになるとは」と活躍に目を見張る。

甲子園の出場が決まり永野さんは「マネジャーの評価は目に見えない。やっと実を結んでうれしかった」と思わず涙。これまでに試合前のノックを打ったことはないというが、新治監督は「本人がどうしたいか。本人と話し合って決めたい」と甲子園でノッカー役を務める可能性について話した。本人も「1球くらいは打ちたい」と意欲を見せた。

聖地での戦いは強豪校が待ち構える。それでも森本は「強豪校にも屈せず自分たちの野球をしたい。マネジャーにも勝ったスコアを書かせてあげたい」と宣言。恩返しの1勝を誓った。【林亮佑】

◆高校野球と女子マネジャー 96年に記録員として女子部員の参加が認められた。08年センバツの甲子園練習では、華陵(山口)の女子部員が初めてユニホーム姿でタイムキーパーで参加。16年夏は大分の女子マネジャーが甲子園練習時にボールの渡し役として参加したが規定違反として大会関係者から制止され、グラウンドから出るよう指示された。当時は「代表校・応援団の手引」に練習補助員とボールボーイは男子部員に限るとの記載があった。17年センバツから規則変更され、安全面を確保する条件付きで参加が認められた。

◆部員13人 城東はマネジャー1人を含む部員13人。少ない部員で出場した最近の例では、昨年春の只見(福島)が13人で初戦敗退。87年春の大成(和歌山)17年春の不来方(こずかた、岩手)は10人だった。74年春の「さわやかイレブン」こと池田(徳島)は11人、エース山沖之彦(元阪急)を擁した77年春の中村(高知)はそれぞれ準優勝と大健闘だった。

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