第95回選抜高校野球大会(18日開幕、甲子園)に出場する東北(宮城)が、今季初白星を挙げた。静岡市立に7-4で勝利。打線は3点リードの4回に1番金子和志内野手(2年)が、今季チーム1号となる2ランを放った。投手陣は5人の継投。2番手で登板した進藤愛輝投手(1年)が、3回を2安打無失点2奪三振と好投した。対外試合が解禁された前日4日は、5失策が絡んで知徳(静岡)に7-8で惜敗。この試合は無失策で勝利をつかんだ。

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東北は両打ちのリードオフマン金子が、今季チーム1号を決めた。3-0の4回2死三塁、左打席に立つとカウント1-2から内角直球を完璧に捉え、右翼席に運んだ。「2アウトで自分がしっかり(三塁走者を)かえしたいと思っていた。自分の得意なインコースに来て、思い切りいくことができた」。前の打席はバットを出すタイミングが早すぎて二ゴロ。「ボールは見えている感じだったので、ワンテンポ遅らせたのが、いい感じにはまりました」と修正に成功した。

今冬の金子は「左右両打ちのクオリティーを上げる」をテーマに打撃強化してきた。最近は左打席が多いものの、高校通算本塁打5本のうち右が3本、左が2本と、どちらでもそん色なく打てるのが特長だ。センバツでは1番打者として「初球から好球必打で打っていくタイプ。初球から甘い球が来たらどんどん振りたい」と意気込む。

投げては1年生右腕・進藤の好投が光った。2回に登板すると最速137キロの直球、最遅75キロのスローカーブを操り、最大62キロ差の緩急をつけて相手打線を幻惑。3イニングを2安打無失点2奪三振でまとめた。前日は1イニングで4失点を喫したが「打たれてもいい」と気持ちを楽にして投げ、結果につなげた。

「師匠」として慕う最速145キロのエース右腕、ハッブス大起投手(2年)も速球と緩い変化球で投球にメリハリをつけていることから、進藤もスローカーブを有効活用している。直球で強気に押していくのが持ち味だが「その裏をかいてバッターを困惑させるようなピッチングをしたら、もっと投球の幅が広がる」と狙いを説明した。

東北はセンバツ開幕までの練習試合が全5戦と他校に比べると極端に少ない。本番までは残り3戦。各選手が1つ1つ課題をクリアしながら臨戦態勢を整える。【山田愛斗】