春のセンバツは、ドラフト候補がプレーする今年初の公式戦。NPBスカウトにとっても、重要な場となる。

1、2回戦の期間中、バックネット裏にスーツ姿で詰めかけるスカウト陣。今年から就任したばかりのヤクルト吉田大成スカウト(28)も連日、グラウンドに熱視線を送った。

試合を見てスコアをつけながら、スピードガンを計り、動画も撮影する。センバツでは、それが3試合続く。一瞬も気を抜けない毎日。「1日に3試合も見ることに慣れていなくて」と必死にこなした。周囲に座るスカウトの先輩たちの動きを見て「皆さん、細かなプレーもとてもよく見ているんです。自分はいっぱいいっぱいで、まだまだです」と話した。

明大から明治安田生命を経て18年ドラフト8位で入団。「平成最後の支配下指名選手」として話題になった。昨年、戦力外通告時にスカウト就任の打診を受け、自分で決断した。

佼成学園時代は、甲子園に手が届かなかった。プロを経て、スカウトとして訪れた聖地。「プロの時の甲子園とは、また全然違った印象です。今年から声出し応援も戻っていますし、高校生の一生懸命なプレーを近くで見られるのがうれしいです」と明るい笑顔で話した。

自身の担当スカウトだった丸山泰嗣スカウト(43)ら上司から学び、第2の人生の経験を積んでいく。