大阪桐蔭は5点リードを守れず報徳学園(兵庫)に逆転負け。史上初となる2度目の春連覇が消えた。

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ブルペンにいた大阪桐蔭・前田は西谷浩一監督(53)からの「マルか?」の合図に、大きく両手で丸を作った。7回、南恒が4連打で2点を失い、5点あったリードがついに1点に。なお無死一、三塁の絶体絶命の場面でエースにゴーサインがかかった。肩は序盤に1度作ったが、急きょ再開したばかりだった。

「いつでもいける準備はしていた。何とか食い止めるという気持ちでいきました」。左翼線への打球(記録は左翼ゴロ)で同点にされた。続くピンチはけん制球でしのいだが、三振をほしい場面で奪えず、今大会続けていた全イニング奪三振も20で途切れた。8回には石野に痛烈な決勝左越え二塁打を浴びると高校NO・1左腕の顔はこわばった。

昨夏敗れた下関国際(山口)戦も球場全体が敵に回ったように感じた。この日も似ていた。「応援がすごかった。夏も似たような光景だった。ああなってしまったら自分たちのペースで野球ができない。でもあの経験は大きい。丁寧に投げて一定のリズムにならないように心がけた」。平静を保ち、力を出せたつもりだったが報徳打線が上だった。

今チームの公式戦19試合目で初の敗戦。絶対的エースとして、人生初の主将として2度目の連覇という重責を背負っていた。「今日は中だるみした。これが今のチームの弱さ。流れを止められなかったのは自分の実力。止めてこそエースです。負けを認めて、前に進みたい」。前田の言葉は力を帯びていた。【柏原誠】

【センバツ】報徳学園と山梨学院が決勝進出 大阪桐蔭、史上初の2度目連覇逃す/スコア詳細>>