新潟産大付は上越総合技術に11-0で大勝した。2-0の7回2死一、三塁に4番の浅野真心(まこと)一塁手(3年)が右翼サク越えの3ラン。打線にスイッチを入れ、快勝につなげた。

   ◇   ◇   ◇

浅野の1発がゲームの流れをたぐり寄せた。味方打線の導火線に火をつける一撃だった。2-0で迎えた7回2死一、三塁。初球をフルスイングした。右翼サク越えの3ランは公式戦初本塁打。「打球が伸びてくれて『入った!』と思った」。喜びをかみしめてダイヤモンドを1周した殊勲者はホームを駆け抜けると、左拳を握り締めながら叫び声を上げた。

重苦しい雰囲気を、浅野の本塁打が吹き飛ばした。吉野公浩監督(56)は「朝から、みんな顔が硬かったが、あのひと振りで大きく変わった」と言う。2回は1死二、三塁のチャンスを得点に結びつけられず、けん制死などのミスも出た。そんな緊張の呪縛から解放したのが、4番打者の本塁打。「得点圏で打てるのが4番だと思う」。5の3、3打点と浅野が思い描く通りの役割を果たした。

現チームが始動した昨年8月の練習中に浅野は左肩を脱臼した。10月には手術を受け、患部を固定。1月から練習に部分合流し、完全復帰は3月だった。同僚たちに差をつけられた練習量を補うように、自宅に帰っても練習した。「父に頼んでバットを振った」とトスを上げてもらいながらティー打撃を1時間以上、繰り返すのが日課だった。現チームでの公式戦出場は今春が初。吉野監督が「いい場面で、最高のホームラン」と評した一打は復活への祝砲になった。【涌井幹雄】