加藤学園が春、夏、秋を通じて初の県制覇を達成した。決勝で日大三島に2-1。昨秋は控えだった藤沢光輝内野手(3年)が先制打を放つなど新戦力の活躍が光り、接戦を制した。3位決定戦では、常葉大菊川が浜松開誠館に3-2でサヨナラ勝ち。決勝を戦った2校が出場する東海大会は、9日に組み合わせ抽選が行われ、20日に県内で開幕する。

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加藤学園が、新たな歴史を刻んだ。1点リードの9回2死。中堅へと伸びた打球を太田侑希主将(3年)ががっちりつかみ、試合が終わった。1996年の創部から27年。夏、秋も含めて1度も届かなかった頂点に立った。米山学監督(45)は「OBや学校関係者、応援してくれる方々に良い報告ができます」。ナインにも笑顔が広がった。

初回1死三塁から藤沢が右前に先制適時打を放つと、2-1の7回2死二塁のピンチから登板した小沢亨彦投手(2年)も2回1/3無失点と好救援。公式戦初先発で8回2/3を1失点に抑えた準決勝に続く好投で、リードを守り抜いた。小沢は「誰かが抜けても次がいるという安心感がある」。故障で代打中心だった太田主将の穴も石田獅音外野手(3年)が埋めるなど、ここまで出番の少なかった新戦力の台頭が栄冠を支えた。

昨秋、東海大会準決勝で常葉大菊川に0-2で惜敗。センバツへの道が断たれた。大半の選手が過ごす寮に当時の新聞を張り、悔しさを胸に刻んで冬の鍛錬に励んだ。指揮官は「どう接戦を勝つか。常に意識してやってきた」。今大会、準決勝でも昨春東海王者の浜松開誠館に2-1で競り勝ったチーム。その成長を示した。

20日から東海大会に挑む。指揮官は「ここがゴールではない」ときっぱり。藤沢も「もっとチーム全体でレベルアップしなければいけない」と言った。最大の目標は、20年の甲子園交流試合以来となる夏の聖地。喜びは胸にしまい、さらなる高みを目指す。【前田和哉】

○…日大三島は9年ぶりの春制覇に一歩届かなかった。公式戦初先発となった永野陽大主将(3年)が2失点完投。しかし、好機での1本が遠く反撃は1点止まりだった。それでも、ナインは走り込み中心の強化練習を並行して行いながら、満身創痍(そうい)の体にムチを打って準優勝。永田裕治監督(59)は「秋に勝てなかったチームがよく頑張った。良い形で夏に向かえると思う」と顔を上げた。