第105回全国高校野球選手権静岡大会が、来月2日に開幕(草薙球場ほか)する。日刊スポーツ静岡版では「夏に煌めく」と題し、注目校などを不定期で紹介する。初回は、昨年12月にイチロー氏(49=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)がサプライズ訪問した富士。エースの水越壱成投手(3年)が、恩返しの活躍を誓った。

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富士のエース右腕・水越が攻守でフル回転する。打っても5番と投打でチームの鍵を握る背番号「1」。最後の夏に向けて「今まで1番活躍したという試合をこの夏に更新したい。マウンドでは後悔のない投球をして、大事な場面で回って来る打席でも1本を打ちたい」と闘志を燃やした。

活躍を届けたい人がいる。昨年12月に指導を受けたイチロー氏だ。水越にとって、これまで何度も動画で見てきた憧れの存在。2日間の練習では打撃の助言を受けるだけでなく、ブルペン入り。志願して打席にも立ってもらった。「内角直球をほめてもらえた。すごく自信になった」と目を輝かせる。

刺激的な経験を経て臨んだ春季大会では、県大会初戦の2回戦で静岡市立に3-5で敗れた。水越は8回12安打5失点。「ほめてもらった内角に投げきれずに、甘く入ったところを打たれてしまった」と悔いの残る敗戦となった。

現在は、春に出た課題と向き合う日々が続く。水越は「1つでも多く勝って、イチローさんに良い報告ができるように、しっかり修正して大会に臨みたい」と力を込めた。本番まで残り約1カ月。恩返しの気持ちを胸に、武器を磨く。【前田和哉】

◆水越壱成(みずこし・いっせい)2005年(平17)8月7日、富士宮市生まれ。小2から富士根南エコーズで野球を始め、小3から富丘ベアーズ。富士根南中軟式野球部を経て富士高。右投げ左打ち。家族は両親、兄、妹。172センチ、63キロ。血液型O。