9年ぶり出場の盛岡三(岩手3位)が、八戸工大一(青森1位)に8-1で7回コールド勝ち。背番号「1」を任された藤枝歳三投手(2年)が5安打1失点の完投でチームを初戦突破に導いた。

藤枝が青森王者相手に粘投。「東北1勝」を刻んだ。試合前は自分の実力が県外私学に通用するのかどうかワクワクしていた。1回を3者凡退に抑えると同裏、自身の適時打を含む打者9人の攻撃で3点の援護をもらい、「緊張も解けて1つ1つのアウトを積み重ねることができた」。4回に本塁打を浴びたが、コースと高さを意識した丁寧な投球で追加点は与えず。7回106球を投げ、5安打無四死球で1失点完投した。

闘志がみなぎっていた。7点リードの6回1死一塁、ワンバウンドで投手強襲の打球を左胸付近に受けるも、素早く一塁に送球。すぐさま手当を受け、マウンドに戻った。2死二塁のピンチでも「自分のピッチングに影響はなかった。しっかり次のバッターを抑えることを意識して投げきれた」。後続を右飛に抑え、エースらしい立ち居振る舞いを見せた。

夏を見据えた春の戦い。チームはこの日、夏の準決勝を想定して初戦に臨み、“決勝”となる日大山形(山形2位)との準々決勝に駒を進めた。藤枝は「夏の大会でも厳しい場面が多くあり、熱さの中で何試合もこなしていかないといけない。準決勝も勝って、決勝も勝つ意識で、『絶対にこの一戦は勝つ』というのを意識して投げた」。名前の「歳三」の由来は「親が土方歳三が好きで…」。新選組副長を務めた歴史上の人物のように、負けられない試合を堂々とした姿で、チームを引っ張る。【相沢孔志】

○…八戸学院光星(青森2位)は仙台一を12-2で破った。公式戦初先発の池田優斗投手(3年)が投打で躍動した。1点リードの3回2死二、三塁で2点適時二塁打を放つと、同裏2死満塁では「気持ちを前面に出して抑えようと思い、思い切り腕を振った」と直球で4番を空振り三振。4回7安打無失点の粘投で鶴岡東(山形1位)との準々決勝に駒を進めた。中沢恒貴主将(3年)は「自分たちの力をしっかり発揮できれば、結果はおのずとついてくる」と気を引き締めた。

○…ノースアジア大明桜(秋田1位)は日大東北に8-5で勝った。吉川新汰捕手(3年)が「公式戦初アーチ」を描いた。3点リードの2回2死一、二塁で手応えは「完璧」という左越え本塁打。「甘いボールが来たら初球から振っていく気持ちだった」と振り返った。今春の秋田大会は5試合で26得点、無失点と攻守がかみ合い、優勝。準々決勝で激突する花巻東(岩手1位)について「長打を打つバッターが多いので、ピンチになっても1本を出させないようにできたら」と警戒した。