日大山形(山形2位)は前回王者の聖光学院(福島1位)に延長10回タイブレークの末、清野隆之輔外野手(2年)のサヨナラ3ランで6-5と勝利。エース菅井颯投手(3年)は10回5失点(自責4)で完投した。

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日大山形が清野の劇的弾で8強入りを決めた。2点を追う延長10回1死二、三塁、1ボールから直球を強振。公式戦1号を左中間スタンドに運んだ。「ギリギリの競った試合で、最後に自分が逆転ホームランを打ててすごくうれしい」。打席に入る前に荒木準也監督(51)から「お前は打てる」と気合を入れられ、1発回答。何度も雄たけびを上げ、ダイヤモンドを1周した。最終打席まで3打数無安打。それでも起死回生の一撃で初戦を飾った。

スタメンには清野ら7人の2年生が名を連ねる。荒木監督も「3年生ぽい2年生たちの集まり」と太鼓判を押す集団だ。0-3の6回に笹大夏(ひろか)内野手(2年)が同点3ラン。安打数では聖光学院の「14」に対し、「9」と及ばなかったが、結果的に2本の本塁打で勝利をつかんだ。

3年生も意地を見せた。最速144キロを誇る菅井は5失点(自責4)も、ロッテ佐々木朗希投手(21)をほうふつとさせるフォームで10回完投。カーブ、スライダー、チェンジアップと変化球の精度は欠いたが、自己最速タイの144キロをマークするなど直球主体で相手打線に挑んだ。

4月に聖光学院と行った練習試合は3-4で敗戦も、公式戦でやり返した。「リベンジできればと思い、必死に抑えました」と菅井。サヨナラ弾の清野も当時は無安打だったが、ここぞの場面で1本出した。前回王者を破った勢いで、若き日大山形が東北大会の主役に躍り出る。【山田愛斗】

○…一関学院(岩手2位)は5-4で秋田商に勝利。小野コンビが投打で躍動した。2点を追う9回、4連打で同点としてなおも1死一、三塁。不振で打順が「3番」から「6番」に降格した小野唯斗外野手(3年)が、決勝の右前適時打を放った。「『6番まで回せば何とかなる』と言われていた。最後に自分が勝ち越し打を打てて良かった」。3番手の小野涼介投手(3年)が5回2/3を4安打2失点と力投した。

○…花巻東(岩手1位)は2-0で仙台商に勝ち、9年ぶりの優勝に向けて白星発進した。初回、高校通算134本塁打の佐々木麟太郎内野手(3年)が左越え二塁打で1死二、三塁の好機を演出。続く4番千葉柚樹内野手(3年)が決勝点となる先制打を放った。「初回のチャンスの場面で勝負強いバッティングができたと思う」と千葉柚。先発・中屋敷祐介投手(3年)は7回2安打無失点と好投し、勝利を呼び込んだ。