昨夏16強の川口市立は「春登板0コンビ」で埼玉県大会(7月8日開幕)に挑む。12日に上尾との初戦を迎え、オリックス宇田川優希投手(24)を兄に持つ宇田川健投手(2年)と技巧派左腕の水沢和之投手(3年)が上位進出の鍵を握る。

2人は春の大会で登板機会がなかった。最速135キロの宇田川は2月に右肘の靱帯(じんたい)の炎症で離脱。復帰へはやる思いもあったが、兄から「あまり焦らないように」と言われ、自分のペースで痛みと向き合ってきた。その成果で夏を前にケガは癒え、21日の城西(東東京)との練習試合で実戦復帰。2回2安打3失点も「ストレートは悪くなかった」とケガ前の感覚を取り戻すべく、練習に励んでいる。

最速126キロの技巧派左腕水沢はベンチ入りも、春にエースナンバーをつけた上村俊平投手(3年)が南部地区代表決定戦(初戦)の大宮南戦で先発。しかしチームは敗れ、登板機会は訪れなかった。

この悔しさを晴らすべく春の大会後から、175センチの水沢と身長の近い171センチ左腕のオリックス宮城のフォームをまねて、変化を取り入れた。「これまで変化量も少なくて打たれやすかった」というカーブに初めてしっくりくる感覚を得られた。7日の昌平との練習試合で先発に抜てき。春季県大会優勝の強力打線を5回2安打2失点に抑えた。昌平の黒坂洋介監督(48)も「とても良いピッチャー」とうなずき、ポテンシャルの高さをうかがわせた。特に強打者、桜井ユウヤ内野手(1年)を左飛、左飛、三ゴロで打ち取ったことは大きな自信となった。

「甲子園に行きたい」と力強く語る2人は春の悔しさを夏にぶつけ、悲願の甲子園初出場を目指す。【佐瀬百合子】