夏の舞台に、大きな歓声が帰ってきた。新型コロナウイルス対策の規制緩和により4年ぶりに「声出し応援」が復活。吹奏楽の人数制限もなくなる。今夏メンバー入りを果たせなかった報徳学園の3年生応援団長が「アゲアゲホイホイ」で“逆転の報徳”の空気感を生み出す。
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センバツで響き渡った「アゲアゲホイホイ」。発祥の報徳学園はこの曲とともに勝ち進んだ。2試合連続サヨナラ勝ちに準決勝の大阪桐蔭戦では5点差を逆転。チャンスで流れる魔曲が「逆転の報徳」を復活させ、ベンチとアルプスの一体感で相手をのみ込んだ。
アルプスをまとめたのは応援団長の大崎元輝(3年)だった。一体感をつくるために普段の練習の合間に応援練習を行った。試合前には3年生のグループラインで鼓舞。「いつも通り自分らの野球をやれば必ず勝てる。苦しかったらスタンドを見てくれ」。熱い思いに準優勝で応えた主将の堀柊那からは大会後に「ほんまにありがとう。力になってる」と言葉をもらった。
初の甲子園に大崎は「夢舞台という感じで、めっちゃ楽しかった。全員が乗ってくれますし、テンションが上がってました」と笑顔。母喜代美さん(50)もスタンドで見る息子の姿に「周りを明るく輝かせる元になってる。本人も元から輝いて、名前の通り育ってくれてる」と感激だった。
メンバー入りを目指し厳しい練習にも食らいついた3年間。帰宅後は喜代美さんも協力して自主練習の日々だった。だが、最後の夏も背番号はもらえず。家族と約束していたベンチ入りは1度もできず、「裏切ってしまって悔いが残る」と唇をかんだ。
夏の大会を前に行われたベンチ外だった3年生の“引退試合”。女手一つで育ててもらった喜代美さんの前で、第1打席はあと少しで本塁打という二塁打。左翼やベンチからは懸命に声を張り上げた。高校最後の打席では感謝の思いをバットに乗せて適時打で締め、「野球を頑張っている姿を見せられたかな」と照れた。喜代美さんも「大変なこともあったんですけど、その何百倍も楽しませてもらったり、感動させてもらった。二人三脚でやれた」と晴れやかな表情だった。
今夏もスタンドから声を張り上げる。「センバツ超えの応援をしたい。日本一になって終わりたい」。春にあと1歩でつかめなかった日本一へ、応援団長としてもり立てる。【林亮佑】
◆アゲアゲホイホイ 高校野球の試合における、応援の定番曲。2010年代後半に報徳学園(兵庫)の応援団が始めたといわれ、瞬く間に全国に広まった。軽快なリズムの曲「サンバ・デ・ジャネイロ」に合わせ「ハイヤハイヤハイー」「アゲアゲホイホイ」「もっともっとー!」と声をかけながら、左右の足を交互に上げて、メガホンを上下させながらジャンプする。いまや甲子園や地方大会での風物詩となっている。

