下妻一(茨城)は右投げでの守備も器用にこなす「両投げ」エース左腕・堀越瑛太投手(3年)が、中継ぎとして1回無失点と2ランを放った。4回から登板。死球による出塁を許したが「心は冷静にいこう」と自分に言い聞かせた。「1球1球に持ち味を出す気持ちで投げた」と得意の直球に威力があり、後続を断った。打ってはその裏に右翼ポール際に、コールド勝ちを引き寄せる2ランを放ち、11点差に広げた。「ファウルかと思いましたが、入って良かったです」。

本来は左投手の堀越だが、中1の冬に左肘を負傷し手術。リハビリ生活を余儀なくされ、中2の秋までは左投げを封印された。この期間中に「野球が出来ないなんてもったいない」と右投げに挑戦。ネットや壁に向かって投げ込み、みるみる上達した。中2の夏には一塁手としてデビューし、内野の各ポジションを難なくこなすまでに成長した。けがが完治し投手を主戦場としているが、高校に入学してからも右投げの守備は継続。練習試合で遊撃を任されるほど信頼を得ている。試合後、「今日、内野で使うの忘れました」と冗談ぽく笑う鶴見和輝監督(37)は「いきなり守備に就かせても普通にこなしていた」とその器用さに驚いていた。

「やれと言われたらいつでも守れる気持ちはできています」とエースは準備万全だ。右の堀越が今大会、見られるかもしれない。【村山玄】