高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

<高校野球東東京大会:広尾5-4鷺宮>◇10日◇2回戦◇都営駒沢球場

「最初で最後の夏」に後悔なし-。鷺宮(東東京)小杉太生内野手(3年)が公式戦初先発で9回10安打5失点(自責4)完投し、4番として4打数1安打1打点と投打に奮闘した。惜敗にも涙はなく「やりきったという面では100点。後悔はないです」充実した表情を浮かべた。

中学ではシニアの江東ライオンズで活躍。創志学園(岡山)に進学したが、昨年10月に2度の不整脈を発症した。寮生活の継続が困難となり、実家に戻って編入試験を受け、今年1月に鷺宮に入学した。部員数も多い創志学園時代とはうってかわって同学年は玉城主将1人だけ。強豪私学で培ったマインドを下級生に注入し、チーム全体の意識を高めた。

2-5で迎えた9回、2死満塁の最終打席では「(後輩たちの思いを)すごい感じて、打席でもちょっと泣きそうになった」と執念の内野安打を放ち、塁上でガッツポーズを繰り出した。今は不整脈の症状もまったくない。受け入れてくれた玉城主将と後輩たちには、感謝しかない。「本当にありがとうと。2年生はあと1年、1年生は2年残っているので、やり切って欲しい」。大好きな野球は、大学でも続けていく決意だ。【鈴木正章】