豪快な1発はなくとも、スコアボードには着実に点が刻まれた。大阪桐蔭が泥臭く点を重ねて、早稲田摂陵にコールド勝ち。V3への1歩を踏み出した。

地味な快勝だった。2回は併殺打の間に1点を先制。6回は村本勇海外野手(3年)の内野ゴロの間に1点を追加すると、小川大地内野手(3年)のスクイズで4-1と徐々に点差を広げた。

7回まで適時打はなし。昨秋からチームのテーマである“しぶとさ”を体現したゲームだった。西谷浩一監督(53)は「(スクイズは)確実に点を取っていく方が相手は嫌がるだろうと思っていた。もともとそんなに打てるチームではない。しぶとく加点して、いかに守るか」とナインに伝える。

15日には智弁和歌山が22年ぶりに和歌山大会で初戦敗退。隣県の番狂わせを受け、指揮官は選手を集めた。「最後の夏は命がけで向かってくる。智弁和歌山の選手たちはもう1回やり直したい気持ちだと思う。自分たちはそうならないようにやっていこう」。選手たちに初心を思い出させた。

5-1で迎えた8回は吉田翔輝内野手(2年)の適時打でダメ押しの1点を挙げると、無死満塁から山田太成外野手(3年)がタイムリーを放ち、8-1。地道に得点を重ね、勝利につなげた。

主将の前田悠伍投手(3年)も前日のミーティングで「夏は何が起こるか分からない。粘り強く、悔いのないように戦おう」とゲキを飛ばした。この日は登板はなかったが、ベンチから熱闘を見守り、「今日は粘り強く戦えたと思います。こういう(苦しい)展開も少し想像していた。1日1日悔いのないように練習をしてきた」と執念あふれる初戦を振り返った。

決勝まで進めば、12日間で7試合という過密スケジュールとなる。見据えるは大阪の頂点、そしてその先の栄光。大阪桐蔭の夏は始まったばかりだ。【下村琴葉】