ノーシードの盛岡商が波乱を起こした。昨夏王者の一関学院に4-3で逆転勝ちし、21年ぶりに4強入りを果たした。

盛岡商が番狂わせを演じ、創立110周年の節目に花を添えた。1点リードの9回2死二塁。大塚晋平投手(3年)が最後の打者を左飛に打ち取ると、ベンチから選手たちが一斉に飛び出し、優勝したかのように喜びを分かち合った。02年以来21年ぶりの4強入り。主将の竹村陽人捕手(3年)は「勝った実感がしないというか、夢を見ている感じですかね」。うれし涙を流す選手もいるほど大きな1勝だった。

2年生2人が勝負強さを発揮した。1点を追う8回1死二塁、4番高橋遥都外野手(2年)が左翼線へ同点適時二塁打。なおも1死一、三塁で6番立花晋一郎外野手(2年)が決勝の左犠飛を決めた。いずれもアンダースロー右腕、小野涼介投手(3年)を捉えた。高橋遥が「2年生も最後の夏という気持ちで戦っている」と言えば、立花も「3年生に勝利を届けられてうれしい」と笑顔を見せた。

スタメン9人中6人が2年生だが、接戦勝負は望むところだった。練習試合から「接戦の試合をやれば分からない」という意識で取り組み、相手の小野涼攻略にも自信があった。準々決勝までの2日間、成田敏輝部長(28)が下手投げで打撃投手を務め、目慣らししてきた。田中純一監督(56)も「『小野君が出てきたぞ』と、みんな気持ちが上がっていた」と明かした。

大会前の目標は8強も、この日の勝利で準決勝に進出した。24日の次戦は同地区の盛岡三と激突。ここまで来たら頂点を目指すのみだ。【山田愛斗】

○…一関学院は2連覇の夢ははかなく散った。一進一退の攻防が続き、3-2の8回に2点を奪われ、逆転を許した。9回2死二塁と一打同点の場面では、主将の原田大和内野手(3年)が左飛で試合終了。「すべては夏のためにやってきたので悔しい」。チーム目標として「打倒花巻東」を掲げてきたが、まさかの準々決勝敗退。「もう1度、花巻東さんと戦うことができずに悔しい」と涙を流した。

○…花巻東は盛岡誠桜に8-1で7回コールド勝ち。2年生左腕、葛西陸投手が今夏初先発で好投し、チームを5大会連続の4強に導いた。7回107球を投げ、7安打1失点7奪三振。打席でも3犠打をきっちりと決め、すべてを得点につなげた。投打で役割を果たした背番号16は「ホッとした気持ち」と振り返った。初回2死三塁から先制打を許す立ち上がりとなったが、2回以降は130キロ前後の直球を低めに制球。盛岡誠桜打線を手玉に取った。葛西は「3年生を甲子園に連れて行くことが使命だと思う。勝ちに貢献できるようにしたい」と意気込んだ。

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