<高校野球東東京大会:東亜学園5-3日大豊山>◇25日◇準々決勝◇神宮球場

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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日大豊山(東東京)の光永翔音(しょうおん)内野手(3年)は、異なる競技との二刀流の先駆者として注目を集めた。「もっと長く(野球を)やりたかったけど、2つやって後悔はありません」。同点にされた直後の8回2死、三塁へのゴロでヘッドスライディングし内野安打。得点にはつながらなかったが、4番の意地を見せた。ユニホームの両膝は血がにじんでいた。

関東第一に勝利した翌日の22日、競泳の関東大会に出場。今夏は野球中心で、泳いだのは「あの1日だけです」。それでも昨年の高校総体で優勝した100メートルバタフライ予選で55秒67を出し高校総体の参加標準記録(56秒03)を突破した。二刀流として「少なからずプレッシャーはあった。4番なのに自分の打撃ができなくて、申し訳なかった」と涙。高いレベルで2つのスポーツを両立する姿は、同じように複数のスポーツを頑張る子どもたちに勇気を与えた。「そういう子たちが後悔なく、最後までやりきる道を作りたかった。これが当たり前になればいいと思う」。大学進学後は、水泳に専念する。28年ロサンゼルス五輪を目指すつもりだ。今度は水中で、まっすぐ進んでいく。【保坂恭子】