甲子園初出場を果たした高知中央は「1番・左翼」で出場した台湾人留学生の謝喬恩外野手(シャ・チャオエン=2年)が5打数3安打4打点の大暴れ。聖地に憧れて来日し、同高の初勝利に貢献した。

2回2死二、三塁で先制の左前適時打。ガッツポーズでチームを盛り上げた。3回には2死二、三塁から右前へ2点打、さらに5回には8-0と相手を突き放す適時二塁打を放った。

この日は、台湾から来日した、父の謝進輝さん(50)と母の王嘉瑋さん(44)、ほか父の友人ら8人が謝喬恩の刺しゅうの入ったTシャツを着てアルプスへ。元日以来に姿を見たという父は「甲子園初ヒットが見られてうれしい」とわが子の得点シーンで拳を握り、跳びはねた。謝が守備につく際は三塁アルプスから両腕でハートマークを作り「ウォーアイニー(我愛你)、愛しています)」とレフトの守備位置に向かって叫んだ。

勝利を喜んだ謝は「(両親が)日本に来てくれて、応援も聞こえました」とはにかむ。来日後は、体力づくりに力を注いだ。「背番号をもらって、3年生たちと甲子園に行きたかった。ウエートや自主練はしんどいです」と苦難も乗り越えた。

台湾人留学生をこれまで受け入れてた同高だが、奮闘を見守った太田弘明監督(51)は「スマホに翻訳するアプリを入れて『元気ないぞー』って励まして。今日の試合もかなり期待してましたけど、真面目で先輩の話をよく聞く子です」と太鼓判を押す。

西岡悠慎主将(3年)は「顔が引きつっていたので、アップ中に『楽しめよ』と言った。(毎回)お土産でもってきてくれるパイナップルのお菓子(パイナップルケーキ)がおいしい。もっと持ってきてほしいです(笑い)一番打ってくれて、次の試合もカギになる」とかわいがられる2年生のリードオフマンは、次戦も躍動に期待がかかる。【中島麗】