13試合目の聖地での戦いに出場した近江の主将・横田悟内野手(3年)は初戦で夢の舞台を去った。

「先輩たちに連れてきてもらった場所」と1年夏からベンチ入りを果たしその夏に4強、2年の甲子園で春準優勝、夏4強を主力として経験した。

男3兄弟の末っ子の横田。次兄の横田大さん(24)は同校OBで野球部出身。普段から横田を支える。近江のアルプス席には滋賀・彦根市から両親と大さんほか、大さんの妻・杏里さん(24)、長男の楓真くん(4)と長女の琉杏ちゃん(2)が応援した。普段、めいとおいは「さとる~」と呼び、横田の丸刈り頭をなでて遊ぶ。「今日はホームラン打って」と2人は願う。

兄は「悟は何でもそつなくこなすタイプ」と言い、寮生活の横田とは、試合後によかった部分を連絡したり、オフには自宅に招いて食事をする。「親が体調悪いときは、悟の保育園を自転車で迎えに行って、世話してました。僕の代で甲子園に行けなかったので敵討ちで近江に入学してくれたのかも。僕らが負けてよかったのかな」と弟の勇姿を見つめた。試合では6回1死一塁の好機が訪れたが、打球はフェンスギリギリの左飛に倒れた。「もっとできるやろと期待を込めて『ちゃんとしなアカンで』と声をかけたこともあったけど、この夏でたくましくなった」と大さんはたたえた。試合終了直後は横田は目にたまった大粒の涙を流した。「甲子園を決めた時に(兄が)とてもうれしそうだった。諦めずにやれていい姿が見せられたかな」とやりきった表情。涙のまま手を真っ黒にして土をかき集め、夢の舞台を去った。【中島麗】

▽中日龍空(母校・近江の初戦敗退に)「結果は見ました。よく頑張ったと思います。(20年独自大会を除く滋賀大会)5連覇だから、すごいと思う。いい刺激をもらいました」