東陵が三度目の正直で、夏の甲子園準Vの仙台育英を破る金星を挙げた。両校は春、夏と県大会準決勝で対決。東陵がともにコールド負けしていたが、この日は先発左腕の熊谷太雅投手(2年)が1失点完投し接戦をものにした。聖和学園は仙台城南を6-0で下し準決勝進出を決めた。

   ◇   ◇   ◇   

183センチの長身から繰り出す角度のある直球で、仙台育英打線を手玉に取った。熊谷は「とても落ち着いて投げられたと思います」。3回までパーフェクト。4回以降は被安打と四球で走者を出しつつも内角にズバズバと決め、自身でも「調子が良い」と自負し、仙台育英・須江航監督(40)にも「インコースに丁寧に、よく投げきりましたね。素晴らしかった」と言わしめる投球で凡打の山を築いた。

2シーズンの借りを返した。春は2-9の7回コールド、夏は1-8の8回コールド。熊谷は先輩たちの敗戦を、スタンドで見ていた。仙台育英戦を前に、寮で先輩たちから激励を受け、昨夏ベンチ入りメンバーの新沼空大投手(3年)には「俺らの借りを返せ」と言われ、奮い立った。「やっと先輩たちの思いを返せた。とてもうれしい」。最後の打者を外角低めの直球で左邪飛に打ち取り、「今までにないくらいうれしかったです」。思わず雄たけびをあげた。

準決勝は23日、古川学園と対戦する。今春は準決勝で仙台育英に、3位決定戦で仙台一に3-4で敗れ、あと1歩で東北大会出場を逃した。準決勝に向け、熊谷は「仲間と一緒にどんどん勝ち上がって、チームを信じてやっていきます」。17年春以来の東北大会へ、宮城の絶対王者を打ち破った勢いそのままに突き進む。【濱本神威】

 

○…仙台育英が東陵に1-2で敗れ、準々決勝敗退。来春のセンバツ出場が絶望的となった。3回まで相手投手にパーフェクトに抑え込まれ、その後は走者を出すも、好機を生かしきれなかった。湯浅桜翼主将(2年)は「まだチームになりきれていない。ミスを引きずってしまって気負い、相手と戦えていない部分がある。そこが変わらないとチームは強くならない」と分析した。昨秋は県決勝で東北に1-2で敗れたが、そこから強くなった。「1日も忘れてはいけない負け」と湯浅。この敗戦を糧に強くなる。

 

○…聖和学園の先発千葉桜太投手(2年)が、仙台城南を6-0の4安打完封。自身公式戦初完封で夏の県大会でコールド負けしたチームのリベンジを果たした。千葉は「追い込んでからの外角への真っすぐが持ち味」。130キロ後半の直球とスライダーに、時折スローボールを折り混ぜて10奪三振。「楽しんでやらないとゲームは面白くない」と語り、準決勝も楽しみながら東北切符をつかみ取る。