今夏甲子園4強の神村学園(鹿児島)が地元開催の開幕カードで北海に逆転負けを喫し、初戦で姿を消した。プロ注目左腕・黒木陽琉(はる)投手(3年)が、7回に自己最速を1キロ更新する147キロをマーク。NPBスカウト10人以上が視線を送る中、今秋ドラフト戦線へアピールした。

感謝の34球だった。国体で高校初の背番号1を背負った。「エース番号を背負えることに、感謝して投げようと思った」。高校1年時に左肘の靱帯(じんたい)と神経の損傷で入院。医者から「高校野球はもうできないかもしれません」とまで宣告された。選手生命の危機にも立たされたが、約3カ月の過酷なリハビリに励んだ。「努力次第でまた野球ができる」。その一心でここまではい上がってきた。

今夏の甲子園では背番号10をつけ、全5試合に救援登板。計22回2/3 6失点で防御率1・99マークした。最後の夏に完全復活し、チームを創部初の4強入りへ導く立役者にまでなった。そんな黒木の姿に、小田大介監督(41)は高校最後の公式戦となる地元開催の国体で、今後の大きな期待も込めてエースナンバーを託した。黒木は「期待されている。(小田監督に)感謝しています」と語った。

だからこそ、勝負どころで抑えたかった。1点先制した直後の6回1死一、二塁から2番手で登板。先頭を左飛に打ち取るも、次打者に2者生還の適時三塁打で逆転を許した。8回は2死一、二塁の場面で今度は左翼から再びマウンドに上がったが、この日2本目の適時三塁打で突き放された。記録は2回2/3を無失点も「簡単に打たれてしまって悔しい気持ちです。もっと自分自身を磨いて、上のステージで活躍できるように取り組んでいかないといけない」。この敗戦を糧に、さらなる飛躍につなげるつもりだ。

逆転負けを喫したが、地元の鹿児島で高校野球を終えた。「たくさんの方々が応援に来てくださった。高校野球最後の試合を地元の球場でできて、楽しんで終われたかなと思います」と充実感を漂わせた。

◆スカウト評

ソフトバンク永井スカウト部長「評価していますよ。真っすぐの角度がいい。カーブも良かったし、伸び代もあります」

【国体】夏の甲子園決勝再戦 慶応-仙台育英 第1試合は北海が神村学園に逆転勝ち/速報