花咲徳栄(埼玉1位)が横浜(神奈川2位)との好カードを8-6で制し、準々決勝へ駒を進めた。来年のドラフト候補にも挙がる石塚裕惺(ゆうせい)内野手(2年)が徹底マークの中で初回、高校通算18号の先制2ラン。全5打席で出塁し、逆転勝利を演出した。

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石塚が、初回から見せた。2死二塁から甘く入った直球を強振すると、打球は一直線に左翼席へ飛び込んだ。「関東大会初回の本塁打は、チームも乗ってくると思ったので。よく入ってくれました」。悠々とダイヤモンドを回り、逸材ぶりを発揮した。

3-3の5回には先頭で内野安打を放ち、1死二、三塁の好機をつくり、チームは内野ゴロの間に勝ち越した。石塚はこの日、その他の打席では1四球に2申告敬遠と勝負を避けられ、全5打席で出塁。「チームに貢献できました」と初戦突破を喜ぶ一方で、「勝負したかったですが」と本音ものぞかせた。

今夏の埼玉大会終了後、肩甲骨とあばら骨を痛め、1カ月バットを振れなかった。その間は、左手のリストを強化。食事にも力を入れ、体重75キロから81キロに上げた。「ヘッドの走りが良くなり、体重が増えて打球に力も伝わりました」。ケガを逆手に成長の秋を迎えている。

ソフトバンク井上ら右の強打者を輩出してきた花咲徳栄にまた1人、系譜を引き継ぐ右打者が現れた。寮の入り口には、プロ入りしたOB選手たちのユニホームが飾られている。石塚は「自分もいつか、ここにユニホームを飾りたい」と、プロ入りへの思いは強い。中でも、日本ハム野村は目標とする1人。「野村さんは2年から試合に出ていて、キャプテンでエース。引っ張っていく姿勢を見せていたと聞いた」と、先輩に姿を重ね合わせた。すでに来年のドラフト候補に挙がっており、「甲子園で活躍して、上位で指名されてプロに行きたい」と飛躍の秋にする。【保坂淑子】

 

センバツ目指し関東大会開幕 花咲徳栄、常総学院、帝京三が8強入り/詳細