戦国東都で「投手」として「日本一」を目指す。大船渡の最速143キロ右腕・佐々木怜希投手(18)が、東都大学リーグ・中大に合格した。兄のロッテ・佐々木朗希投手(22)から「おめでとう」と祝福を受け「『ありがとう』と返しました」と御礼はあっさり。だが、戦国東都制覇に向けては「もっとピッチャーとして上を目指したい」と熱い思いを口にした。

 

今夏の岩手県大会では、初戦の盛岡農戦で7回から登板。自己最速143キロを3度マークするなど、1回1安打無失点。だが、3回戦・盛岡一戦では先発も、2安打6四死球3失点(自責1)と3回途中で降板。3失点が響き、チームは1-3で敗戦。その経験から、大学では「試合をつくれる、たくさん投げられる投手になりたい」。言葉には力がこもっていた。

自身の夏は終わったが、甲子園の試合をテレビ観戦。最も印象に残っている試合に花巻東-仙台育英の東北対決を挙げた。大船渡一中でともに戦った花巻東・北條慎治投手(18)や仙台育英・仁田陽翔投手(18)が出ていたからだ。北條は同じ東都1部、青学大へ、仁田は東都2部、立正大へ進学する。2人とは公式戦で対戦したことはなく、練習試合で投げ合ったこともないが、何の因果か東都に集結。佐々木怜は「対戦を楽しみにしたい」と心待ちにした。高校では1年秋から遊撃の主力として定着し、2年秋から投手に転向。投手としての経験はまだまだ浅いが、「(2人は)球速も速く、変化球もすごい。経験も豊富で、まだ何ひとつとして勝っている自信はないです。でも(大学で)総合力を高めて、競っていけるように、追いつけるようにしたい」と闘志を燃やした。

色紙には「日本一」と記した。「チームとして日本一というのもありますし…。目標が高すぎると思いますけど、大学で、“日本一のピッチャー”になれたら」。言い慣れない「日本一のピッチャー」という言葉に、気恥ずかしそうに笑った。この目標をいつかは堂々と言えるように、戦国東都で力をつけていく。【濱本神威】

 

◆佐々木怜希(ささき・れいき)2005年(平17)4月25日生まれ、岩手県陸前高田市出身。猪川小3年時に猪川野球クラブで野球を始め、大船渡一中では軟式野球部に所属。大船渡では1年秋に遊撃でスタメンに定着。2年秋から投手に挑戦。憧れの選手はオリックス山本由伸。178センチ、72キロ。右投げ右打ち。