ドラフト指名漏れを乗り越え、4年後の明るい未来を目指す。仙台育英の最速151キロ左腕・仁田陽翔投手(18)が、東都大学リーグ2部・立正大に進学。設備や生活環境などの面から、自分が一番成長できる場として同大を選んだ。大学では「頼られる投手を目指したい。ずっと頼ってきてばっかりだったので…」。悔いが残った高校の3年間や指名漏れを糧にして、大学の4年間でもっともっと強くなる。

  ◇  ◇  ◇

頼ってばかりの3年間だった。「自分でピンチをつくって降板することがほとんど。『助けてもらってばっかだな』と感じていた。悔しかった」。この3年間は「もっと自分が投げられたら…」という悔しさが募る日々だった。課題には常に制球力がつきまとい、「特に(制球が)いい試合なんてほとんどなかった」。悔しい試合を数えると、きりがなかった。

今春の東北大会決勝で151キロをマークし、湯田統真投手(17)、高橋煌稀投手(18)と並んで「150キロトリオ」の1人と称された。甲子園でも149キロを計測。だが、釈然としなかった。今夏の甲子園2回戦・聖光学院戦前には「一番は育英の(スピード)ガンで出した149キロだと思います」とも語っていたが、9月の終わりに育英のガンで150キロを計測。「ここのガンで出せたので、少し自信を持って言えるようになりました」と語り、ようやく笑顔を見せた。

戦国東都で成長する。同校からは東都1部・中大に橋本航河外野手(18)、同2部・専大に住石孝雄内野手(18)が進学。2人と対戦する可能性があり、「左と左なんでうまくやれるかな。打たせる気はないです」といたずらっぽく笑った。色紙には「最多奪三振」と記し、「試合をつくれるようになりたい。ビタビタに決めて、ゾーンで勝負できるようになりたいです」。大学では納得のいく試合を1試合でも多く-。150キロを超える力強いストレートを武器に、4年後の未来まで一直線に突き進む。【濱本神威】

◆仁田陽翔(にた・はると)2005年(平17)6月10日生まれ、岩手県大船渡市出身。猪川小3年時に猪川野球クラブで野球を始め、大船渡一中では軟式野球部に所属。仙台育英では1年春の県大会で初出場。甲子園には3度出場し、6試合に登板した。174センチ、72キロ。左投げ左打ち。