第96回選抜高校野球大会(3月18日~30日、甲子園)に21世紀枠として出場する別海(北海道)が25日、鹿児島合宿を終えて北海道へ戻る。

16人の選手たちに混じり、少し髪が伸びた若者が3人いた。昨夏で引退し、もうすぐ卒業式を迎える3年生のOB部員だ。ともに星槎道都大で野球を続ける。千田晃世選手(3年)は「自分たちのスキルアップも兼ねて手伝っています」と笑う。

昨夏は支部予選決勝で敗れ、全道大会進出を逃した。「こんなにあっさり終わっちゃうんだって感じです。自分は1年生で全道大会に出させてもらって、全道が当たり前な感じで高校野球スタートしたので。そのあと2年連続で全道行けなかったのは本当に悔しくて」。そして、弟の涼太内野手(2年)ら後輩たちが夢をかなえた。

「最初はうれしかったですよ。まず、うれしかったです。でもなんか、だんだん悔しいというか…。なんで自分たちの代で行けなかったんだろうって」

苦笑いしながら、イチ野球人としての素直な思いを吐露した。本気で青春をかけたからこその感情。ひたむきに野球と向き合った姿はみんな見ていた。「憧れの選手」を問われて、プロ野球選手じゃなくて、千田前主将を挙げる声も後輩たちには多い。

「シンプルに仲がいいのもあると思います。でも、そう言われて、素直にうれしいですね」

実家は別海町内で酪農家をしている。牧場の周りにはあまり家がなくて「キャッチボールもノックも、畑で何でもできましたね」という環境で育ち、甲子園を夢見てきた。部員数が少ないため、彼ら卒業生部員も甲子園遠征にサポート役として同行する予定になっている。ほんの、ほんの少しだけ、夢がかなう。

鹿児島合宿では雨天の日に知覧特攻平和会館に足を運んだ。

「思ってたよりもグッと来るものがありました。年齢が近いのもあって。家族につらい思いをさせないために、写真撮る時は笑顔でいよう、ってそういう気持ちを持てるのがすごいなって。同世代が命を賭けて…本当につらいことですし、そういう方々がいたからこそ、今の自分たちがあると思うので。感謝…なんですかね? そういう方々がいてくれたことを忘れちゃいけないと思います」

後輩たちよりも少し事細かに、心の内を描写する。予期せぬ“卒業旅行”で、また大きくなった憧れの彼ら。甲子園が近づく。故郷からの巣立ちも近づいている。【金子真仁】