青森山田は土壇場でよみがえる。7回まで広陵エース高尾の前に無安打無得点。8回に2点を奪われて窮地だった。だが先頭の代打、蝦名が初安打となる左中間への二塁打で切り開いた。後続がつないで1死満塁。絶好のチャンスに、3番対馬が木製バットで構える。「自分が打たないとチームも勝てない」と強気で打席に向かい、初球のスライダーをはじき返す右前2点適時打。一振りで試合を振り出しに戻した。

9回の守備は1点を勝ち越され、なお1死二、三塁でセンター前にライナーが飛んできた。だがダイビングキャッチし、タッチアップもさせなかった。その裏は3点差を追いつき、10回無死一、二塁では、サヨナラお膳立てのセーフティーバントを決めるなど攻守で勝負強かった。「負けてても逆転できるっていう思いは中学の頃からずっと続いている」。大事な局面での勝負強さは中学時代に培ったものだ。

出身の青森山田リトルシニアには“ゾンビ青森山田”という信念がある。中條純監督(32)の言葉で、20年10月の秋季新人東北大会で辛勝を経て東北4連覇を達成した同シニアの粘り強さを表現したものだ。対馬は「中学校からの粘り強い野球をみんなに広げて、今日この試合で発揮できた」。ゾンビのように何度でもよみがえる粘り強さを、高校でもチームに浸透させてきた。その成果が、この2戦連続のサヨナラ勝ちだ。 「集団力は自信を持って一番」。しつこく諦めず粘り強く戦う“ゾンビ青森山田”の精神で、劣勢にも何度でも立ち上がり、春夏通じて初の4強となる勝利をつかみ取る。【濱本神威】