東京都心から来たムードメーカー、八丈の中沢廉太郎外野手(3年)が3回裏に代打で登場すると、スタンドからは大きな拍手と声援が送られた。

「島留学の制度を使って八丈高校に行きたい」。息子の言葉に父、廉平さん(47)は「なんで八丈高校に行くんだよってひっくり返って」と笑いながら振り返る。諦めさせるつもりで同校の説明会に付き添ったが、息子の気持ちはさらに増幅したようだった。人混みが苦手だから、自然いっぱいの八丈島は理想的な環境に思えた。迷ったが、最後は「本人の意思を尊重させてあげよう」と、快く送り出した。

廉平さんにとって、驚きはそれだけで終わらなかった。「その時の3年生の先輩が優しかったらしくて」という理由から、息子は野球未経験ながら硬式野球部に入部。練習についていけるか不安だったが、やり抜いたことに高校3年間での成長を実感した。

今夏は背番号「10」でベンチ入り。笹本義範監督(50)は「ムードメーカーとしてやってくれている」。チームは快勝で初戦を突破したが、中沢の表情は晴れない。今夏最初の打席で三振に終わり「ふがいなかった。せめて(バットに)当てられたら…」。悔しさは次戦で晴らす。【水谷京裕】

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