ドジャース大谷に憧れる右腕が、満を持して神宮のマウンドに立った。東京(東東京)が東西東京大会参加251チームの大トリとして初戦となる3回戦に登場。プロ注目の永見光太郎投手(3年)が先発し、8回6安打2失点と好投。4球団のスカウトの前で評判にたがわぬ投球を披露し、上野学園を7-2で破った。
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エースの名にふさわしい堂々としたたたずまいだった。初回に失策なども絡んで2点を失ったが、永見は顔色一つ変えることなくマウンドに立ち続けた。「雰囲気を悪くしたらダメだと思うので、明るく」。スカウトの計測で140キロ超を計測した伸びのある直球を主体に8回まで投げ抜き、チームの勝利に大きく貢献した。
182センチのスラリとした長身から、カットボール、カーブ、フォークを操る。1回の守備の乱れも「難しいのは分かるので」と理解しているからこそ、責めることはない。松下浩志監督(43)の考えで、同校の選手は1人3ポジション以上を守れるように鍛え上げられる。降板後左翼に入った永見も例外ではなく「(高校では)一応全部やっています」と捕手を経験したこともある。不測の事態に備えながら、互いのポジションの大変さを知ることができる効果も生まれている。
大谷に憧れ、投手としての鍛錬も欠かさなかった。昨秋からトレーニングと食生活を見直し、肉体改造。球速を10キロ近くアップさせ、春の東京大会3回戦では二松学舎大付相手に1失点完投勝利。一躍プロも注目する投手に成長を遂げた。
今年のチームの目標は「甲子園占領」。甲子園を埋めるほど多くの人に応援されるチームを目指す。そのために学校周りの清掃や校則を守るといった凡事徹底も欠かさない。「なるべく長く野球したいので、行けるところまで勝ちたい」。東京高校の長い夏がようやく幕を開けた。【水谷京裕】
◆東京 大田区の鵜の木に校舎がある、創立154年目の共学私立校。学校横に多摩川の土手があるため“土手校”とも呼ばれ親しまれている。1872年(明5)の「上野塾」が前身。東京数理学校、東京数学院と移り変わり、その分院が後の東北高校(宮城)となった。プロ野球選手は輩出していないものの、EXILEのMAKIDAI、落語家の立川談志、陸上のケンブリッジ飛鳥など多方面で卒業生が活躍している。Xアカウント「東京高校あるある」では「校舎の作りが複雑すぎて教室がどこにあるのか迷う」などと紹介されている。

