横浜が悪夢を上書き消去し、4強入りした。2年生ながら主将を任される阿部葉太外野手が、桐光学園へ傾いた流れを止めた。1点差に迫られた6回2死一塁、代打村井の打球がセンターを守る阿部葉の横へ。「気付いたら飛んでました」。ダイビングキャッチし、右手で芝生をパンパンパンと3度。ベンチの村田浩明監督(38)も気合の表情で呼応した。
直前の6回表、二塁手のところにゴロが転がり、一塁走者が重なった。衝突の間に1点入る。「守備妨害だ!」と横浜ベンチがアピール。村田監督は伝令の選手を7度、8度と審判団へ向かわせた。判定は変わらなかったが、納得して守備についた。
ベンチも朝7時台から並んだ1000人に近い大観衆も、あの場面が重なったことだろう。昨夏の慶応との決勝戦、併殺を狙う際の「ベース踏み忘れ判定」があり、直後に決勝本塁打を浴びた。判定そのものより、監督も選手もその後の崩れを後悔した。阿部葉も「またこんなことで負けちゃいけない」と強い気持ちでスーパープレーに挑んだ。
2年生主将の美守が、接戦の強豪対決を終わらせた。6回裏は思いが表現された強烈な打球に、執念が乗り移ったような難しい打球が3つ、4つ。一挙6得点で押し切った。
ノーステップ打法に取り組む阿部葉は1番打者で4安打。村田監督が「すごくいいチームになってきた」と評するのは技術もハートも。スローガンは「熱く熱く、熱くなれ」。体は燃え上がる炎のように、頭は冷静に。難関の“あと2勝”に向け、スイッチが入った。【金子真仁】
▼桐光学園(神奈川) 横浜との注目の一戦で終盤に崩れた。今秋ドラフト候補の森駿太内野手(3年)は1安打も、6回の好機では空振り三振し「気負っても打ててこそ主将だと思うので」と己を責めた。身長187センチの大型内野手は力強いスイングが評価され、自身もプロ志望。「自分は完璧な選手じゃないので、弱さも磨いて。応援される人間になれるように」と心技体をさらに磨いていく。

