昨夏4強の神村学園(鹿児島)がミラクル進撃の大社(島根)旋風を止め、2年連続の準決勝進出を決めた。
1点リードの7回、プロ注目で高校通算19本塁打の4番、正林輝大外野手(3年)の今夏甲子園初打点のタイムリーを起点に、4連打4得点で突き放した。打撃不振の3回戦後、小田大介監督(41)のゲキを受けて発奮。動作解析が専門の豊重正章テクニカルコーチ(38)の打撃指導も実った。21日の準決勝では、初の決勝進出をかけて関東第一(東東京)と対戦する。
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神村学園の眠れる4番が、目覚めの一打で大社撃破に貢献した。3-2の大接戦で迎えた7回1死一、二塁のチャンス。大会屈指の相手エース左腕、馬庭が投じた自慢の直球を左前にはじき返すタイムリーで今夏甲子園初打点。「打った瞬間とてもうれしくて、ベンチでみんな喜んでくれたので」とガッツポーズで喜んだ。「いい1本を打ってチームが波に乗った」。自画自賛の一撃から4連打で4点を奪い、地力の差を見せつけた。四球で出た4回には二盗を決めて2点目を呼び込むなど、打って走って4強進出に力を尽くした。
小田監督の猛ゲキを力に変えた。17日の3回戦後の夜、3試合で1安打の不調を見かね、宿舎の自室に呼ばれた。「自分のことばかりで打席に入って、仲間への愛のない野球は神村の野球じゃない」。据えられたおきゅうでハッとした主砲は、感謝をバットに込めた。「自分を見失いそうなっていたところで声をかけていただき、切り替えられました」。泥臭くつなぐ4番として、復活の適時打につなげた。
技術面の修正も実った。豊重テクニカルコーチの指導でフォームを微調整。「トップの位置を少し上げて、ボールにアプローチしやすくなった」。うまく使えていなかった下半身の動きもスムーズになり、自信も取り戻した。指揮官から「1人しかいないでしょう」と大社戦のキーマンに指名された男が、ここ一番で大きな役割を果たした。
神がかった快進撃を見せる相手の大応援で“完全アウェー”となった準々決勝。だが試合前、小田監督は選手たちにこう呼び掛けた。「世の中で注目されているチームで、大げさに言うと9割の応援は大社じゃないのか。でも、それを相手の応援と思うのか、自分たちの応援もしてもらっていると思うかは、自分たち次第じゃないのか」。前半こそ苦戦したが、4番正林らに肝を据わらせた戦いで、終盤突き放した。準決勝の相手は強豪の関東第一。正林を中心に、一丸で初の決勝を目指す。【菊川光一】
◆正林輝大(しょうばやし・こうだい)2006年(平18)6月15日生まれ。佐賀市出身。野球は諸富南小1年から始め遊撃手と捕手。諸富中野球部では三塁手。中3で全国8強。神村学園では2年夏から4番右翼で昨夏同校初の4強に貢献。50メートル走6秒0。遠投100メートル。好きなプロ野球選手はソフトバンク柳田悠岐。尊敬する人は大谷翔平。178センチ、84キロ。右投げ左打ち。
○…2年生右腕の早瀬が好リリーフで大社の勢いを止めた。エース左腕の今村が2-2の同点とされた4回、なお無死二、三塁の大ピンチで登板。2者連続二ゴロでホーム封殺に仕留めると、最後は116キロチェンジアップで空振り三振に打ち取った。6回を5安打7奪三振で無失点。大社の大応援にも「自分が応援されていると思うことが大事。ずっと応援されていると思って投げていました」と逆境を力に変えた。
▽神村学園・今村(3回0/3を2失点降板) (大社の)応援の大きさは、ほんと想像以上で。応援の圧に負けてしまった。気にしないようにしようと思っていたんですけど、それでも1度気にしてしまって…。もうそこからは、バッターと勝負できていませんでした。
◆鹿児島県勢の夏4強 昨年の神村学園に続き2年連続8度目。2年連続は県勢初。94年樟南(準優勝)以来30年ぶり2度目の決勝進出なるか。

