秋季高校野球宮城大会は19日、石巻市民球場で準々決勝が行われ、気仙沼が日本ウェルネス宮城を7-6で退け、30年ぶりの4強入りを決めた。3点リードで迎えた9回に土壇場で追いつかれるも、延長10回タイブレークを制した。先発の斉藤匡輝(まさき)投手(2年)が10回6失点(自責1)。打っては4安打2打点と、投打で勝利に導いた。
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決着がついた142球目。最後は見逃し三振。マウンドに立ち続けた斉藤は、右手の拳を空に向かって突き上げた。「本当に勝てて良かった」。喜びのあまり、言葉がなかなか出てこなかった。
30年ぶりの快挙は、たった12人の部員で成し遂げた。選手は10人。これを不利だとは思わない。「1人1人、監督さんから直接指導をもらえたり、少ないからこその練習ができています」。少人数チームの利点を強みに変えた。
どんな時でも後ろを見れば心が落ち着く。斉藤は何度もバックスクリーンを見て一息ついた。そして仲間に「いくよ」と笑顔で声をかける。これがルーティンだ。強豪相手に圧倒された一戦。「珍しくきつかったです。私立というだけあって、気力と気合は桁違いでした」。それでも、後ろにいる頼もしい仲間の存在が心の支え。守備でも助けられた。「毎回ファインプレーをしてくれて、本当に心強かったです」と笑みがこぼれた。
地元のヒーローに-。これがナインの願いだ。宮城の北東端に位置し、三陸海岸の一部をなす気仙沼市は、東日本大震災でも甚大な被害を受けた。現在は人口減少の一途をたどっている。そんな時こそ、ヒーローの出番だ。「公立が私立に勝つって面白いじゃないですか。気仙沼の方々にもそう思ってもらいたいです」と目を輝かせた。そして、夢はもうひとつ。「自分たちの試合をきっかけに野球を始めてくれる子どもが増えてくれたらうれしいです」と話した。
「東北大会は副産物」が合言葉。決して先は見なかった。東北大会出場まであと1勝。快進撃をここで終わらせるつもりはない。【木村有優】
▽斎藤晄広主将(2年)「どれだけミスをしても最後に勝っていればいいので、とにかく勝つことだけを考えて試合に臨みたいです」

