日刊スポーツ高校野球取材班が今センバツ期間中に紹介できなかった話題を「センバツ こぼれ話」と題して取り上げる。第2回は投打二刀流を極める山梨学院・菰田陽生投手(3年)の成長を温かく見守る山梨学院・吉田洸二監督(56)。
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「ダイヤの原石」。1年前の2月下旬。初めて山梨学院を訪れた際に、吉田監督は当時2年生だった菰田について「数多くの選手を見てきましたが、ポテンシャル的には今村猛(清峰-広島)に次ぐ2番目。身体的には菰田の方が上です」と絶賛した。「必ず次の日本プロ野球界の宝になる存在」と言い、大事に育ててきた。菰田がケガをしてからも、その姿勢は変わらなかった。
今センバツ1回戦の長崎日大戦。5回の守備で悪送球を捕ろうとして打者走者と交錯し、菰田が左手首を骨折した。「左橈骨(とうこつ)遠位端骨折」との診断。負傷後もベンチ入りは認めたが、出場させることはなかった。勝ちに徹すれば違う選択肢があったかもしれないが「この子は5年後、6年後にプロ野球で活躍をみるのが楽しみ。今じゃないんです。菰田は良い形で次のステップにつなげてあげなきゃいけない」と揺るがない。「あんな夢のある選手に神様が出会わせてくれた」と感謝を述べ、清峰(長崎)時代を含め2度のセンバツ優勝を誇る吉田監督は柔らかい笑みを浮かべた。
菰田には最後の夏、そして今秋にはドラフトもある。吉田監督はかつて、こんな言葉も残している。「3年生のドラフト会議の前に、スカウトの方々が『バッターでしょ、いやピッチャーでしょ。どっちがいいかな』と論争してもらえるような選手になってほしい」。手術を終え今後リハビリに入る超高校級の最後の夏が、待ち切れない。【平山連】

