2002年(平14)創部で初の夏決勝に躍り出た健大高崎(群馬)が、8回のバッテリーのミスで智弁和歌山に勝ち越しを許し、準優勝に終わった。

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炎天下での「舌打ち事件」が、健大高崎の石田雄星外野手(3年)を変えた。昨夏の鳴尾浜臨海球場。健大高崎を取材しに行った記者が見たのは、ポツンと1人でストレッチを繰り返す当時2年生の石田雄の姿だった。他の選手たちは既にグラウンドで体を動かしていたのに、隣の原っぱに居残り、ストレッチの「おかわり」を課されていた。汗が噴き出るような厳しい暑さの中で、地味なメニューをこなすのは辛い。トレーナーの下に終了を告げに来た時の石田雄の顔には、苛立ちがはっきりと見えた。納得がいかないのか「チッ」と小さく舌打ちを吐いた。チームはその4日後に行われた京都国際戦で敗れ、早々と甲子園を去った。

しばらくたって当時のことをぶつけると、少し恥ずかしそうにしながらも打ち明けた。「自分は怪我をしやすい体なのでストレッチを重点的にやらせてもらっていたのに、当時は『なんで俺だけこんなのをやらされるんだろう』と思っちゃって。(トレーナーの)塚原さんにあの後呼ばれて『新チームになったら、お前がチーム全体をいい方向に導かなきゃ絶対勝てない』と言ってもらって、すごく心に響きました。当時は本当に子供だったなと反省しています」。潔く非を認める姿に大きな成長が見えた。

主将として初めて臨んだ昨秋の群馬大会は準々決勝で敗退。「谷間の世代」と言われる厳しい船出だった。チームは徐々に戦力を整えたが、最後の夏を控えた6月に右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折。順風満帆な1年を過ごしたわけではない。思うようにはいかない時を過ごしながらも、前に進み続けたからこそ見える景色があった。

智弁和歌山に敗れ初の夏制覇は逃したが「18年間生きてきた中で、一番最高の夏休みになりました」と最後の夏を目いっぱい満喫。胸を張れる銀メダルだった。【平山連】