<高校野球埼玉大会:市川越4-2ふじみ野>◇23日◇5回戦◇大宮公園野球場

 ふじみ野の初めての夏が終わった。同校は大井と福岡が統合して今年4月に校名変更した。同じ時期に樋口徹監督(23)が就任したが、わずか3カ月で最後の夏が終わった。

 臨時的任用職員での採用のため1年契約の条件だった。

 就任後すぐにエースとして昨秋から背番号「1」を着ける増田健一投手(3年)に試練を与えた。今春の大会で背番号「11」に変更し、3番手投手に降格させた。足の開き具合の課題を自分で感じ、さらなる成長に期待するがためだ。

 「こいつで勝つしかないと考えて、あえて逆境に立たせることを考えました。良かったのか分からないですけど」。この日、市川越相手に8回10安打3失点とふるわなかったが、それでも「コールド負けするかもしれないと思っていたぐらいですから本当によくやってくれました」と笑顔をみせた。

 この日にかける思いは誰よりも強いものがあった。6年前の07年夏、浦和実のエースとして同じ会場、同じベスト8をかけた試合、くしくも同じ一塁ベンチで富士見との試合に臨んでいた。3-5で惜しくも敗れた。「何とかリベンジをと思っていたんですけど、僕の責任です」と目に涙を浮かべた。

 来年の就任先はいまだ未定。それでも「1、2年生には何とか自分が残って指導できるようにしてあげたい。みんなにどう思われているかわかんないですけど」と苦笑いをみせた。