3月23日開幕の第83回選抜高校野球大会(甲子園)の出場32校を決める選考委員会が28日、大阪市北区で開かれた。組み合わせ抽選会は3月15日に行われる。

 創志学園(岡山)に史上最速の甲子園切符が届いた。創部1年目のオール1年生チームの出場。05年春に創部丸2年の神村学園(鹿児島)を率いて準優勝に導いた長沢宏行監督(57)は「夢のように感じる。甲子園では1年生らしくフレッシュに挑みたい。彼らは何か持っているよ」と涙を浮かべた。

 1884年創立の伝統校だが、ずっと女子校だった。昨年、普通科ができたのを機に野球部が創設された。主将の野山慎介内野手は「こんなに早く行けるとは。見本となる先輩はいないが自分たちで伝統を作る」と意気込んだ。今後は狭いグラウンドから系列の環太平洋大の施設を利用する。学校側はブラスバンド部の立ち上げや、応援団の結成など、てんやわんやだ。

 96年アトランタ五輪で女子ソフトボール日本代表のヘッドコーチを務めるなど、日体大時代に取り組んだソフトボールが“長沢野球”の礎となっている。公式戦12試合のチーム打率は2割5分9厘と低いが、徹底したゴロ打ちに足を絡める。秋季中国大会は3試合連続の1点差勝利で決勝に進出した。

 04年春には済美(愛媛)が初出場優勝するなど、創部間もない新興校が旋風を起こす例は少なくない。史上最速優勝の声に、長沢監督は「大きな波に乗れば」と話した。