＜高校野球奈良大会：智弁学園８－３桜井＞◇２７日◇決勝

　智弁学園がスーパー２年生エースの活躍で、３年ぶり１６度目の甲子園出場を決めた。プロも注目する青山大紀投手が自身初の３試合連続本塁打となる決勝２ランを放ち、投げては桜井打線を２安打９三振に抑える好投。ライバル天理が出場辞退した中、チームとしても今大会１０本塁打で、奈良県大会新記録も打ち立てた。

　マウンドで高々と両手を突き上げた。１年秋からエースナンバーを背負い、来秋のドラフト候補と称されるスーパー２年生青山が、決勝の舞台で投打で大活躍。ライバル天理の不在で本命視された大会で見事にプレッシャーをはねのけ、甲子園行き切符をつかんだ。

　「どんなに打たれても試合で勝つのがエース。天理が出ても、勝って甲子園に行くことを考えていた」

　味方の失策絡みで１点リードを許した直後の３回裏、１死一塁から右翼席後方のフェンスに直撃する１１０メートル逆転弾。「打った瞬間行ったと思った」。自身初の３試合連続アーチ。高めに甘く入った失投を見逃さなかった。今大会１７打数９安打の実力は本物だった。

　投げても桜井打線を２安打９三振に抑える好投。最速１４４キロの直球に変化球を交え、最後まで的を絞らせなかった。小坂将商監督（３４）も「決勝という力みもあったと思うが、丁寧に投げてくれた」と、投打でフル回転したエースをたたえた。

　子供のころから病気がちで、季節の変わり目ごとに体調をくずし、何度も入院していたが、親元を離れて寮生活を送る今では、練習後に疲れた顔も見せず、小３の誕生日にもらった洗濯板で練習着を自分で手洗いするほどたくましく成長した。

　チームはこの日、青山らの３本塁打で今大会通算１０本塁打とし、００年に天理が記録した７本を抜いて大会新記録も樹立。今年の智弁学園は青山を中心に、甲子園でもまだまだ大暴れしそうだ。【福岡吉央】

　◆青山大紀（あおやま・だいき）１９９４年（平６）１１月２８日、大阪府生まれ。小３で野球を始め、若江ジャイアンツ、八尾フレンズでプレー。中学では葛城ＪＦＫで３年時に全国制覇。昨夏は背番号９でベンチ入りし、県大会準優勝。好きな食べ物はキャベツの千切り。１８１センチ、７２キロ。右投げ左打ち。家族は両親と妹２人。

　◆智弁学園

　１９６５年（昭４０）創立の私立校。普通科のみで生徒数は７６７人（女子３１３人）。野球部も同年創部。部員は３４人。甲子園は春７度、夏１６度目の出場。主なＯＢに楽天中村真、横浜秦、巨人加治前、楽天枡田ら。所在地は奈良県五條市野原中４の１の５１。中川敏男校長。

　◆Ｖへの足跡◆２回戦９－１五条３回戦９－１御所実準々決勝１０－０高田商準決勝９－１奈良決勝８－３桜井