<高校野球岩手大会:盛岡大付8-1専大北上>◇8日◇2回戦◇岩手県営

 プロ注目のスラッガー、盛岡大付・佐藤廉外野手(3年)が、スカウトが見守る中で1回に先制決勝2ラン。専大北上との甲子園出場校対決を制す原動力になった。

 右の大砲が、いきなり火を噴いた。1回1死一塁。盛岡大付・佐藤へのサインはエンドランだった。内角寄りのスライダーに「まず当てよう」と素直にバットを出すと、打球は岩手県営球場の左翼席上段に突き刺さった。「うまくバットにボールが乗ってくれた」。最後の夏の初打席でアーチをかけ、3安打2打点と最高のスタートを切った。

 持って生まれた能力に、確かな技術と努力が加わった。1年春の県大会から背番号を付ける好素材。6月上旬の東北大会で32本だった通算本塁打数は、わずか1カ月弱で40本に達した。冬場には強打の光星学院(青森)金沢成奉総監督(45)から指導を受け「自分のゾーンで、強く振れる場所が分かった。調子の波もなくなった」。トレーニングで昨秋から5キロ増の肉体に比例するように、本塁打も20本から倍増した。

 左の好打者が多い昨今、右の強打者という点でプロも注目する。この日は5球団が視察。広島はリストアップしており、近藤スカウトは「あの長打力は魅力」と評価する。3番中堅で強力打線を引っ張る佐藤は「最後に、どうしても甲子園に出たい」とまだ満足はしていない。神奈川から越境入学して2年半。いまだ踏んでいない聖地への切符を手にするため、その打棒を振るい続ける。【今井恵太】

 ◆佐藤廉(さとう・れん)1994年(平6)8月18日、神奈川県生まれ。小2年の時、軟式のアクアファイターズで野球を始める。中学では名門・瀬谷ボーイズ(硬式)に所属し、全国3位。家族は両親と弟。183センチ、81キロ。右投げ右打ち。血液型O。