<高校野球京都大会:福知山成美10-7西城陽>◇23日◇準々決勝◇わかさスタジアム京都

 福知山成美を4強に導いたのは、投打のヒーロー、背番号10の仲村渠(なかんらかり)康太投手(2年)だ。2点リードの5回2死一、二塁で初球の甘い変化球をひと振り。打球が弧を描き左翼スタンドに。公式戦1号でリードを広げ、試合を優位に運んだ。「当たった瞬間、行くと思いました」。

 投げては8回4失点で試合を作った。力投を後押ししたのは、エースナンバーを背負う兄・仲村渠健太投手(3年)だ。この日は2番右翼で「自分が投げているときよりも、打席で気持ちが入ります」と、3回の先制打、4回の勝ち越し打を含む3適時打。兄弟合わせて6打点とそろい踏みした。

 ともに寮で生活する2人は、小学生以来ケンカをしたことがない。康太は「安心して野球ができる」と、1年上の兄を追って入学した。現在も「兄は説得力があるんです」と、練習中に積極的にアドバイスを求める。健太も「弟のテンポのいい投球は、見習わないと」と謙虚に吸収する。

 仲良し仲村渠兄弟は、今大会で初戦から交互に先発するチームの柱でもある。次の準決勝は、11年準決勝、09年決勝で敗れている龍谷大平安と対戦する。先発は兄健太の番だ。「試合を壊さず、仕事を果たします」と意気込めば、弟康太は「(兄が)何とか勝ってくれたら、決勝はいつも通り投げたい」と応えた。4年ぶりの頂点へ、兄弟の力であと2勝をつかみ取る。【山本大地】

 ◆甲子園を沸かせた兄弟

 阪神藤川は高知商2年だった97年夏に兄順一さん(当時3年)と出場。順一さんが捕手を務め、兄弟バッテリーで話題になった。市川(山梨)では91年に春夏連続出場した樋渡卓哉(3年)の弟勇哉も94年夏に活躍。DeNA北方悠誠投手は昨夏、唐津商で弟伸(1年)とともに出場した。