<高校野球和歌山大会:那賀2-1近大新宮>◇27日◇準決勝◇紀三井寺

 那賀がエース福井真元投手(3年)の“魔球”を武器に初の決勝進出だ。130キロ台後半の直球にフワリと浮き上がる70キロ台の超スローカーブの緩急で、近大新宮打線を10回1失点完投。最後には相手バッテリーエラーで自ら決勝のホームも踏んだ。激戦を終えた右腕は「今日は球も走っていて良かったです」と笑顔で振り返った。

 1度は「投手落第」を宣告された。投手として入学したが、1年夏の練習試合で1イニング11失点。以降はマウンドに立つことなく、外野手としてレギュラーを目指した。それでも心のどこかに未練があった。1年冬には、河川敷で父隆元さん(46)を相手に投球練習をしたこともあった。

 2年秋になり、高津亮監督(37)から投手への再転向を指示され「やっとピッチャーができる」と、意気に感じた。秋の県大会ではスローカーブを駆使し、準決勝で智弁和歌山を撃破。自信を付け、自分の投球スタイルを確立した。

 今大会は初戦を2点差、以降3試合を1点差で制した。そのすべてに完投した福井は躍進の原動力だ。決勝の相手は7連覇中の智弁和歌山。昨秋の再現で記録を阻止し、夢をかなえる。【山本大地】