<明治神宮大会:仙台育英6-2県岐阜商>◇11日◇高校の部準々決勝◇神宮

 仙台育英(東北・宮城)は佐々木順一郎監督(53)の采配がさえ渡り、91年以来の白星をつかみ取った。同点の9回2死一塁。8回まで5安打2失点と粘投していた9番鈴木天斗投手(2年)に、即座に代打を送る。「タイブレークから投手を代えるのはきついし、この回でどうしても決めたかった」。延長10回以降に決着をつけやすくするため、1死満塁から始まるタイブレーク方式を見据えての勝負手だった。

 策は見事にはまった。代打の阿部涼平内野手(1年)が初球を右前に運んで一、三塁とすると、1番熊谷敬宥内野手(2年)が決勝打を放った。続く佐々木友希内野手(1年)は「小学校以来。最高です」というダメ押しの3ラン。ベンチスタートだったが、佐々木監督が「相手投手にタイミングが合ってなかった」と菊名裕貴内野手(2年)を下げ、5回の守備から二塁に入っていた。阿部涼も佐々木も新チーム始動時はレギュラーだった。不調で控えに回っていたが、大舞台で結果を出し、佐々木監督も「競争が生まれていい」と2人の意地を喜んだ。

 「ここで投げたくて大学(早大)に入った」という神宮で、監督として初勝利。現役時代は4年間で1イニングしか投げられなかった聖地で、頼もしい教え子とともに、少しでも長い時を過ごしたい。