<高校野球西東京大会:日野9-6国士舘>◇26日◇準決勝◇神宮

 初となる日野の決勝進出は、1年生のバットが決めた。同点で迎えた延長10回表1死満塁で、鈴木貴大捕手(1年)が打席に入った。先輩から「落ちついて、思い切って行け」と送り出されると、3ボール2ストライクからの6球目、インコースの直球を振り抜いた。打球は二塁手の頭上を越える中前2点適時打。塁上で先輩のいる三塁側ベンチに向かって右手を高く上げ喜んだ。「先輩に声をかけてもらったので楽しんで行こうと思った。最高です。メッチャうれしいです」と満面の笑みで話した。

 ここまで1年生ながらチームに貢献してきた。「背番号12」だが初戦以外の4試合は出場し、7打数5安打4打点の活躍。島田雅之監督(50)は「打撃とキャッチングは評価できる。1年生とは思えないほど良い選手です」と評価するほどの実力だ。

 こだわりもある。今大会から試合前日に、験担ぎとして夕飯に大好物のステーキを食べ力を蓄える。そして寝る前には打席でのイメージをしてから就寝する。前夜は、神宮球場で中前打を打つ姿を思い浮かべてから就寝したという。決勝打がその通りの打撃となり「偶然ですかね。イメージ通りになって良かった」とびっくりした様子だった。

 中学時代、複数の私立校から誘いを受けたが「都立で日大三を倒して甲子園に行きたい」と考え、すべてを断った。明日28日の決勝の相手は、その日大三となる。早くも目標だったステージに立つことができる。「1年から日大三と戦えるなんてうれしい。勝って甲子園に行きたい」と意気込む。相手はここまで5試合で70得点と強力打線だが、動じない。「いつも通りの野球をやれば勝てる」。西東京で都立勢での決勝進出は85年の東大和以来。初めての決勝の舞台を優勝で飾ることは出来るのか。【細江純平】

 ◆鈴木貴大(すずき・たかひろ)1997年(平9)5月28日、東京・八王子市生まれ。小3から横川スーパースターズで野球を始める。八王子市立第4中では3年の夏に都大会ベスト16。173センチ、65キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄。

 ◆都立校の決勝進出

 西東京大会では85年の東大和以来となる28年ぶりの決勝進出。この時は日大三に2-5で敗れ、準優勝。優勝は80年の国立のみ。東東京では99年に城東、03年に雪谷が優勝している。いずれも甲子園での勝利はなし。