<高校野球北北海道大会:釧路工4-1岩見沢東>◇21日◇準々決勝◇旭川スタルヒン

 釧路工が岩見沢東を退け、24年ぶりの4強進出を決めた。7回に渋谷健太一塁手(3年)の2点本塁打を含む3連打で一気に4得点を奪い、勝負を決めた。7回以外は無安打に抑えられたが、昨冬から本格的に取り組んでいる座禅トレーニングで鍛えた集中力を発揮し、伊藤を攻略。79年以来の甲子園にあと2勝に迫った。

 集中力のスイッチが入った。上村健太監督(32)が「打順が良いので勝負だと思っていた」という7回だ。死球だがこの試合初めて走者が出た。犠打で二塁に送ってクリーンアップに打順が回る。3番伊藤主将がチーム初安打を放ち、ムードががらりと変わった。1死二、三塁。エースで4番の宮脇が2球目を引っ張った。走者2人をかえす左前打。ついに均衡を破った。

 集中打はまだ途切れない。5番渋谷が内角直球を振り抜いた。打球は左翼席で弾んだ。北大会第1号となるとどめの2ラン。打った瞬間に人さし指を上げて走りだした。この間わずか5分。岩見沢東・伊藤を一気に攻略した。渋谷は「相手は後半に球威が落ちるから、一気にたたき込もうと思っていた」ととしてやったりの表情で話した。

 集中打の裏には座禅があった。ナインは今オフに週に2度ほど、同校から約4キロ離れる定光寺で30分間の座禅に取り組んだ。ストーブがたかれない部屋。最低気温が氷点下10度を下回る釧路の寒さの中、震えることも許されない苦行。それを乗り越えてきた。上村監督は「我慢のきかないチームだったから。勝負強さが上がってきた」と成長を実感。座禅での精神統一が、試合を決める連打となって発揮された。

 24年ぶりの準決勝の舞台。同部の移動用バスの車内には、79年の甲子園出場記念のタペストリーが飾られている。ナインの視線の先で、常に輝いてきた過去の栄光。渋谷は「次の試合も全力で、2つ勝つ」と聖地へ思いをはせた。【保坂果那】

 ◆釧路工の道大会4強

 夏の北大会では今回で5度目。初出場した65年に初戦を突破し、準決勝進出。5度目の出場の79年に再び準決勝に進出すると、決勝で砂川北を破り甲子園に出場。以降は88、90年の2度、準決勝に進出した。春の全道はなく、秋は89年の1度。