「ウナギイヌ」を攻略せよ。7日開幕の全国高校野球大会出場の常葉学園橘(静岡)が大会2日目(8日)第1試合で対戦する北大津(滋賀)のエースはつかみどころのない変則投法の岡本拓也投手(2年)だ。その投球スタイルから個性的なニックネームを持つ右腕攻略を目指すナインは5日、大阪・箕面学園第2グラウンドで打撃練習を中心に調整した。今大会から背番号3に昇格し、先発が濃厚な左打ちの宮路修平内野手(2年)ら鍵を握る左打者陣が快音を響かせた。

 宮路は自分の役割を自覚していた。北大津は岡本のほかに140キロ超の本格派・横江の右腕2人を擁する。実戦形式の1カ所打撃で、宮路はあえて投手陣にコーナーに投げ分けてもらった上で、右横手の渡辺健人(2年)からは左前打を、右上手の宮崎悟(1年)には厳しい球を何度もカットし、最後は左中間を破る二塁打を見舞った。「自分ら左打者がいかに打ち崩せるかが鍵になる。食らいついて、粘り強さを見せたいと考えていた。いい感じでした」とうなずいた。

 初戦が北大津に決まった後、同部屋で同じ左打者の城戸健太朗内野手(1年)に「オレらが打ち崩せれば(エース長谷川)ゲンさんも楽になる」と呼びかけた。小岱太志内野手(3年)ら昨夏からの主力5人がクローズアップされるが、宮路も2、3回戦に途中出場した1人。今大会の背番号は3で、県大会の20番から繰り上がり、3年の荒木良太から譲り受けた。宮路は「最初はちょっと気まずさもありました。でも、良太さんからどんどん話しかけてもらって楽になった。喜びより、しっかりやらなきゃという思いが強い」。

 城戸も最初の打席で中前打を1本。小岱や早川顕一外野手(3年)長谷川ら左打者陣が計5安打で応えた。

 練習後は45分間、坂道ダッシュや腹筋など、普段から毎週行っているトレーニングをみっちりこなした。青空の下、バスの乗り降りで足が震えるほど追い込み、ホテル暮らしの閉塞(へいそく)した気持ちを開放した。ウナギイヌをつかまえる準備を進めながら6日、開会式リハーサルに臨む。【今村健人】