エンゼルス大谷翔平投手(28)のトレードの話題が続いている。ミナシアンGMは先日、大谷とトラウトについて「この2人を同時にキープしながら勝てるチームを作る道筋を思い描いている。彼らを中心に強いチームを構築する方法は確実に存在する」とトレードの可能性を否定。実際のところ、大物選手のトレードではオーナーの意向を無視することはできず、エンゼルスのモレノ・オーナーがこの2大スターを手放すとは思えないという声もある。

エンゼルスのペリー・ミナシアンGM(2022年6月7日)
エンゼルスのペリー・ミナシアンGM(2022年6月7日)

それでも米メディアでは大谷のトレードに関する話題が後を絶たない。米スポーツ専門テレビ局ESPNの番組では、ドジャースの主力5人と大谷を交換する5対1の大型トレードが提案され、ニューヨークのスポーツテレビ局SNYは「メッツかヤンキースは、ショウヘイ・オオタニをトレードで獲得するためにファームの選手を売り払うべきか?」というテーマでトーク番組を放送していた。なぜ大谷のトレードトークはそんなにも盛り上がっているのか?

エンゼルス大谷翔平(2022年7月13日)
エンゼルス大谷翔平(2022年7月13日)

MLBは8月2日の米東部時間午後6時(日本時間3日午前7時)にトレード期限を迎える。各球団のGMや編成トップは、この時期にトレード案のやりとりをひっきりなしに行っている。活発なトレーダーとして知られるマリナーズのディポトGMや、球界の中でも顔が広いヤンキースのキャッシュマンGMは昔からトレードに積極的だが、今はスマホのメッセージアプリを使ってトレード案を送る幹部が増え、トレード案の交換が以前よりもお手軽になった。絵文字やユーモアのあるGIFをを使い軽いノリで提案すれば、どんな大胆な案でも出しやすい。

もともとMLBでは、まさかトレードに出されないだろうと誰もが思うような選手のトレードの話が持ち上がることがままある。トレード案を持ちかけることで相手の反応をうかがい、相手球団がどんな編成方針でどんな戦力を求めているかが探れ、それを次の交渉にも生かすこともできる。トレード案を出すことが、情報収集の手段にもなるからだ。そのような目的で、エンゼルスに大谷のトレード案を投げる球団も実際にあるかもしれない。

大谷をトレードするとしたら、どれだけの質と量の交換要員が必要かということも、多くの人にとっては興味津々だ。何せ先発投手としてメジャートップクラス、打者としては中軸を打てるのだから、投打の主力選手2人分の交換要員が必要になりそうだ。今まで見たこともない大型トレードを見てみたいという関係者やファンは多いだろう。

こうして大谷トレードの話題は続いていく。トレード期限が過ぎればいったん落ち着くだろうが、今後のエンゼルスの状況によっては来年まで話題が続く可能性もある。SNYの番組では「彼は1世紀に1人レベルの能力を持つ選手。ファームの有望株全員を放出しても獲得すべき」という意見も出ていた。(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)

ベンチで言葉を交わすエンゼルス大谷(左)とトラウト(2022年6月19日)
ベンチで言葉を交わすエンゼルス大谷(左)とトラウト(2022年6月19日)