オリックスからポスティングシステムでメジャー移籍を目指す山本由伸投手(25)が注目されている。多くの球団による争奪戦になることが確実視されている一方、「サイズ問題」もずいぶん話題になっている。MLBに存在する「6フィート(約183センチ)の壁」のことだ。

メジャーでは身長6フィート未満の先発投手が成功することは歴史的にも、まれ。山本の身長は公称5フィート10インチ(約178センチ)で、サイズ問題がメジャー移籍後のネックになると指摘する声がある。

もちろん成功した投手もわずかながらいる。現役の投手では5フィート7インチ(約170センチ)のマーカス・ストローマン(32=カブスFA)、5フィート10インチのソニー・グレイ(34=ツインズFA)、5フィート11インチ(約180センチ)のジョニー・クエト(37=マーリンズFA)がそうだ。ストローマンはメジャー9年目の今季、自身5度目の2ケタ勝利となる10勝(9敗)を挙げ2度目のオールスターに選出された。グレイはメジャー11年目の今季、リーグ2位の防御率2・79をマークし3度目のオールスターに選出。クエトは今季は不振だったがメジャー16年と息が長く20勝をマークしたこともある。

レッドソックスなどで92から18年間活躍し通算219勝で野球殿堂入りしたペドロ・マルティネスも5フィート11インチだ。サイ・ヤング賞に3度輝くなど全盛期はメジャーでも圧倒的存在で、マルティネスに関しては6フィートの壁などどこ吹く風という勢いだった。

07年にジャイアンツでデビューしたティム・リンスカムも5フィート11インチだったが、キャリア序盤の全盛期は支配的な投手で08年から2年連続サイ・ヤング賞を受賞している。少し古い時代では50年代から60年代にかけて通算236勝を挙げたヤンキースのホワイティー・フォードは5フィート10インチ、70年代から80年代にかけて20勝を3度マークするなど活躍したヤンキースのロン・ギドリーは5フィート11インチだ。

山本は果たして「6フィートの壁」を超えた名投手たちのあとに続けるのか。争奪戦に参戦することが確実視される球団は、その点は心配していないようだ。10月23日付の「ジ・アスレチック」によると、メッツなど複数の球団はすでにホークアイとトラックマンのテクノロジーによる山本の投球データをすべて入手しているという。山本を十分に把握し分析した上で、メジャーでローテ3番手以内でやっていけると期待をかけている。その期待にどれだけ応えられるか、来季以降が楽しみだ。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)