ダイヤモンドバックス平野佳寿投手(34)が、チームの新人記録となる20試合連続無失点をマークし、1年目からメジャーで躍動している。18日(日本時間19日)敵地でのエンゼルス戦で記録を塗り替えた。リリーフで防御率1・42はチーム1位、メジャー全体でも14位につける。好調の陰にはベストパートナーのケルビン近藤通訳(30)がおり、睡眠時間以外はほとんど行動をともにする。仲良しの2人が、インタビューでお互いを語った。

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 メジャーリーガー平野はよく笑っていた。オリックス時代と変わることなく、自然体。京都府宇治市出身の関西人らしく、あっけらかんと笑いも交える。常にそばにいるケルビン近藤通訳とも、相性抜群だ。

 平野 第一印象は、日本語がうまくない(笑い)。でも気が利いて頭も良い。でなきゃ、4カ国語もしゃべれない。

 ブラジル・サンパウロ市出身の日系3世で、日本語に加え、公用語のポルトガル語、スペイン語、英語を操るケルビン通訳のサポートは大きい。2月のキャンプからわずか4カ月だが、少しずつ信頼を築いていった。

 ケルビン通訳(以下ケルビン) 最初は平野さん、怖いかなーって思った。

 平野 ハッハッハ。

 ケルビン でも、すごく優しいし、いつも頑張れ、頑張れってサポートしてくれる。

 平野 先輩、後輩みたいな感じやね。やっぱり、一番思ったのはケルビンが監督やコーチ側としっかりコミュニケーションがとれるのが大きいね。日本語が変でも、野球のことやったら俺は分かるから。

 通訳と、首脳陣やチームメートとの意思疎通を最も大事と考える。また、メジャーリーガーは米国人だけでなく、ラテン系の選手も多い。

 平野 スペイン語もしゃべれるから、そっちのコミュニケーションもすごくとれる。たまに混乱して、俺にスペイン語で話してくる時もあるけどね(笑い)。

 試合では平野がマウンドに上がるときにケルビン通訳が常に5メートル後ろを走ってついていく。

 平野 5メートル後ろからついてくるけど、この前(18日の登板)最後で抜いたよな。

 ケルビン マウンド手前で…。監督がいたから…。

 平野 プレーオフが決まって、消化試合になったときに最初から抜いてみたら面白いんちゃう? 笑いが起こると思うわ。あいついきなり抜きよったって。

 本拠地アリゾナ州フェニックスのチェースフィールドでは今季からブルペンカーも導入された。

 平野 敵チームは使ってるけど、うちの選手まだ誰も使ってない。ケルビンが最初に使ったら面白いよ。

 ケルビン 今度、本拠地の試合で乗ります。前も次いきますっていって、忘れましたけど(笑い)。

 真剣に取り組む野球の中でも関西人らしく笑いも多い。そんな平野を慕って、ついていくケルビン通訳。野球に集中できる環境が整っている。

 平野 世界一になれるチャンスのあるチーム。ぜひかなえたいね。

 目指すはワールドシリーズ制覇。2人で約束も交わした。

 平野 5、6年、体重計乗ってないんだろう? 優勝したら、行くぞ。

 ケルビン 地区優勝したら、乗ります!

 平野 そのために、優勝するわ。

 モチベーションは、ややおなかの出たケルビン通訳の体重を計らせること。最後はしっかりオチもつけた。【MLB担当=斎藤庸裕】

 ◆ケルビン近藤(こんどう) 1988年、ブラジル・サンパウロ市生まれ。両親はブラジル在住の日系人。学生時代に慶応大学野球部へ2カ月間、練習生として参加。11年からは沖縄のクラブチームで野球を続けた。13年からダイヤモンドバックスのスカウトとして、ブラジルで野球選手を発掘。昨年末から平野の専属通訳。