エンゼルス大谷翔平投手(26)が、開幕から投打で全試合に出場している。登板の前後1日を欠場していたメジャー1年目の二刀流スケジュールとは異なり、形式的な決まり事はほぼない。「あまりナーバスになりすぎずというか、繊細になりすぎないように。純粋にゲームを楽しんで活躍するのをイメージして、やっていければいいなと思ってます」。その言葉通り、感情表現も豊かに各試合で躍動し、結果が表れている。

制限から“解放”された大谷に、ファンの期待も解放されたように一気に膨らんだ。システムエンジニア系の仕事で在宅ワークを続ける埼玉県在住の30代会社員は、空き時間にテレビ観戦をしながら大谷の結果とニュースに日々、一喜一憂している。「記事もすごく多いし、純粋にファンの期待が跳ね上がっていると思う。あと毎日出場というのが大きい。毎日、楽しめる」。大谷の日々の活躍は、コロナ禍で在宅勤務が多くなっている状況に明るい光をともしているようだ。

今春キャンプではメジャーで自身最速の101・9マイル(約164キロ)をマークし、レギュラーシーズンでは自己最速119マイル(約191・5キロ)の打球速度をたたきだした。結果や映像では、スタジアムでの雰囲気を感じることは難しい。それでも、人々にただならぬ予感を漂わせる。同会社員は「今年は期待できるのがハッキリ分かるし、何かすごいことしてくれそうというのがある。時事ニュースのチェックより、大谷選手の記事を探す人も多いと思う」と、ファンの視点を明かした。

過去3年間、大谷にとってはふがいないシーズンが続いた。今季の開幕直後、心境を明かした。「この2、3年はけがもあってあまり活躍できなかった。悔しいなっていう思いが、今年のモチベーションなのかなって思います。先を見ることなく1試合1試合。今日の試合、頑張りたい」。その気持ちがファンにも伝わる。今日の大谷はどうだったのか、また明日はどうか、毎日出場しているからこその純粋な期待が、注目度の高さにつながっている。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)