フィリーズのブランドン・マーシュ外野手(24)が、チームをリーグ優勝決定シリーズに導く決勝弾を放った。
15日(日本時間16日)、シリーズ突破へ王手をかけて臨んだブレーブスとのナ・リーグ地区シリーズ第4戦。2回1死一、三塁からモートンの内角カーブを捉え、右翼席へと運んだ。ダイヤモンドを回りながら、何度もガッツポーズ。大興奮の自軍ベンチへと飛び込んだ。拍手喝采、スタンディングオベーションを送る観客へ向け、ヘルメットを脱いで応えた。
ロングヘアーに長いあごひげが一体化した姿は、エンゼルス時代からおなじみだ。8月2日のトレード期限までは、大谷翔平投手(28)とも仲良しの同僚だった。16年のドラフト2巡目で指名され、昨年7月18日にメジャーデビュー。2年目の今季は、開幕スタメンを勝ち取った。成長の過程で、同じ左打者としてお手本としていた選手が大谷だった。試合へ臨むまでの準備に加え、ベンチで会話を重ねながら、プレーを観察。5月末にマーシュは「ある状況で何を考えているか。そういうことも学んで、情報を得て、自分に生かしたかった」と話していた。
先輩として慕いながら、仲の良さも目立った。エンゼルスでは今季、本塁打を放った後にカウボーイハットをかぶる儀式が定着した。「僕がかぶらせようとしたら、彼がジャンプして入ってきた。まるで『ポン』って音がするような感じでね。理由は分からないけど、面白かったよ」。あるときは、こんなこともあった。「僕が確か、試合で2三振してね。彼は3三振で、そしたら、ちょっといじってくるような感じで『僕に(打撃を)教えてよ』って。僕はこう言ったよ。『ショー、君はクレイジーだ』ってね」。冗談を言い合い、笑った日々も貴重な思い出として残っている。
トレードの直後、大谷はかつての同僚に対し「心の底から応援しているので、結果を出してポストシーズンでも頑張ってほしい」と激励した。マーシュは6月ごろから打率が低下していたが、フィリーズに移籍後、徐々に調子を取り戻した。重心を落としたフォーム改造も大きな要因だが、エンゼルス時代に大谷から学んだ経験も、マーシュの財産となったに違いない。