23年の二刀流・大谷翔平ストーリーは、名門ドジャース移籍、プロスポーツ史上最高額の契約で幕を閉じた。メジャー挑戦から6年。振り返れば毎年が「激動」だったが、23年は特にいろんなことが起こった。過去6年間で言えば、シーズン中、オフを通じて、最も激しく動いた1年と言っていいかもしれない。

まずは3月初旬、侍ジャパン合流で日本中が沸いた。プライベートジェット機で県営名古屋空港へ着陸した際には、多くの人々が追跡アプリでチェックするほどの騒ぎになった。無事にチーム合流後、ナゴヤドームと京セラドーム大阪でいきなりフリー打撃を披露。今やシーズン中ではほとんど見られない、プレミアムな大谷の打撃練習にファンはくぎ付けになった。

WBCでは、壮行試合で膝つき本塁打、東京での1次ラウンドで衝撃の看板直撃弾、リアル二刀流での活躍…。3大会ぶりのWBC優勝に貢献し、過去最強メンバーの米国との決勝戦ではエンゼルスの同僚トラウトと対決する名場面も生まれた。空振り三振に打ち取り、世界一を決めた瞬間は、今後も長く語り継がれる歴史的な出来事となった。

シーズンに入ると、リーグ記録を更新する勢いで本塁打を量産。前半戦だけで32本塁打を放ち、前年にア・リーグ記録を塗り替えたヤンキース・ジャッジの62本塁打を狙えるほどのペースで打ちまくった。投打で過去最高とも言える結果を残していたが、8月から疲労と異変が出始め、同23日のレッズ戦で右肘の靱帯(じんたい)を損傷。結果的に自身2度目の手術を受けることとなった。さらに、9月上旬にはフリー打撃で右脇腹を痛め、シーズン終了となる結果を招いた。

激しく浮き沈みがあった23年の二刀流・大谷。それでも、シーズンオフは表彰ラッシュとなり、11月16日には史上初となる2度目の満票MVPに輝いた。そして、締めくくりはドジャースへ電撃移籍。沈黙を続けていた中、自身のインスタグラムで移籍を表明した。

大谷がファンに伝えたように、エンゼルスでの6年間は、かけがえのない日々だった。恩義や寂しさもありながら、新天地で新たな1歩を踏む。12月14日、入団会見で言った。

「明確な勝利を目指すビジョンと、豊富な球団の歴史を持つ、このロサンゼルス・ドジャースの一員になれることを今、心よりうれしく思うと同時に、今すごく興奮しています」

右肘のリハビリと並行しながら、来季は打者専念になる。いったん、刀は1つとなるが、再び激動のドラマを見せてくれるはずだ。

【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)

ドジャース入団会見で笑顔を見せる大谷(2023年12月14日撮影)
ドジャース入団会見で笑顔を見せる大谷(2023年12月14日撮影)