ドジャースの主力選手の準備とは-。ふと、気になって注目した。大谷翔平投手(29)と同じ長距離砲の左打者で、昨年36本塁打を放ったマックス・マンシー内野手(33)のフリー打撃。5セットで32スイング、柵越えは4本だった。打撃投手はイブル三塁コーチ。2日前、大谷は同じ打撃投手を相手に26スイングで13本がフェンス越えだった。

一見、大谷の打撃力の高さが際立つが、目的が全く違う。マンシーはリー打撃で柵越えを打つことは「狙えば簡単。練習で打つのは、かなり得意だと思っている」と言い切った一方で、「ホームランを打とうとはしない」と明かした。21年シーズン終盤に守備で左肘の靱帯(じんたい)を損傷。ここ数年は、左腕の押し込みが出来なかった。「今年はセンターから左方向への意識を再確認することに集中している」との言葉通り、32スイングのうち20本が中堅から左方向。徹底した意識があった。

昨年のシーズン中に聞いた大谷の言葉を思い出した。ドジャース相手に登板後、「強いチームはどこもそうですけど、ゲームプランを立てて、全員で目的意識をもって来る」と語った。ロバーツ監督は野手組のキャンプ初日に、クラブハウスで演説した。「準備はそれぞれで違う。私が求めるのは、さらにそれをいいものにして欲しい。自分自身のハードルを上げること」。ここ2年で打率2割前後に低迷したマンシーは、明確な意図で準備の質を上げている。そう感じられた。

ド軍のキャンプを見始めて10日目。野手組のキャンプ初日は野手全員で中距離走を6本走った。この日は守備練習を終えると、互いをハイタッチでたたえ合った。フィールド外でも、チームスタッフの主催でチキンウイング早食い大会を開催。笑顔満載の空間を共有した。個々が責任を持ち、準備を進め、全員で一致団結する。それを組織のリーダー(監督)が信頼する。まだ理解はほんの一部でしかないが、少しずつ、強豪ドジャースたるゆえんが、見えてきた。